どうしたものかと、理樹は頭をガリガリとかいた。かなり面倒である。

 不思議と目の前の少年に対しては、今のところ『面倒』という感想以上の攻撃的な感情は覚えていなかった。
 相手からはかなり睨まれているものの、中世的な可愛らしいイケメンは、どんな表情をしても対人に嫌悪感を与えないらしい、と場違いなことまで考えてしまう。

 その時、こちらよりも頭一個分も小さいレイが、怖くないぞと言わんばかりにこう吠えた。

「彼女はとても可愛いんだ!」

 そこで理樹は「ああ、つまり」と投げやりに口を挟んだ。

「お前は、彼女のことが好きなわけなんだろ」
「勿論だ! なのに高校に入学した途端毎日お前の話ばかりだし、休み時間とか急にいなくなって、僕が一緒に過ごせる時間がごっそり減った!」

 そういや、風紀委員会は、生徒会同様に忙しい組織とか言ってたな。

 必要であれば授業も免除されるらしい、という中途半端に頭に入れた説明内容を思い返したところで、理樹はなんだかこの現状が馬鹿らしく思えてしまった。