相手が自分よりも小さいせいだろうか。どこか幼さもある男にしては可愛らしく見えるその顔を見ていると、どうも強く攻める気にもなれない。

 ひとまずここは、早々に話しを終わらせるべく冷静になろう。

 らしくないなと思いながらも理樹はそう決めて、一呼吸分置いてから、言葉を選んで口を開いた。

「お前が彼女のことをよく知っている、というのは理解した。俺は――」
「なぜそこで詳しい話を訊いてこない!? 中学時代の彼女を知りたいとは思わないのかッ」

 信じられないとばかりに目を剥いて、レイが唐突にこちらの台詞を遮るように叫んだ。
 理樹は呆気に取られて、思わず「は?」と声を上げてしまった。

「もしや、もう既に彼女から聞き出したのかこの変態め!」
「待て。なんでここにきて、俺の評価が変態にまで急降下した?」
「今更モテない男の強がりをするつもりか!?」

 すると、後方の校舎の角から、「ぶはっ」と吹き出す声が聞こえた。