今時の女子が好きそうなその中世的なイケメンを目にした時から、彼のテンションは地に沈んでいた。驚きは既に「面倒臭ぇ」というものに変わっている。

 無愛想なモテない男が、引き続き学年一の小動物系美少女に告白されているという現状については、早いうちに解決しなければとは思っていた。なぜなら、いずれ面倒で余計なことに巻き込まれるのではないか、という可能性を少し警戒していたからだ。

 突入してきた際の台詞の感じからすると、自分が沙羅に自分がアタックされ続けている現状を良くは思っておらず、敵対心を持たれているだろう可能性が浮かぶ。
 いずれこうなる可能性は推測していたものの、早い段階で現実になろうとは……と理樹は現実逃避したくなった。

 歴史担当の教師である鈴木が、不安そうな顔をその男子生徒へと向けてこう言った。

「あのな、青崎(あおざき)? 事情はなんとなく分かったけど、だからといってお前が桜羽のことで直接彼に突撃するのは、先生はどうかと思――」
「担任の癖に口を挟まないで頂きたい! 僕はやつに決闘を挑む!」
「君たちのクラスの担任だから口を挟むんだよ、しかも決闘とか物騒だからヤメテ」

 全く持ってその通りだ、と理樹は思った。