その時、屋上の扉が開かれて、二人はそちらへと目を向けた。
今朝見た桜羽沙羅が、扉から戸惑いがちに顔を覗かせた。
彼女は空色だった瞳が、今は日本人特有の色をしていた。けれど腰まである彼女の柔らかな長髪は、日差しに当たっていなくとも優しげなブラウン寄りの色をしており、それは前世の頃と全く同じ色で、――理樹は思わずそっと目を細めた。
不意に、扉から屋上の様子を見ていた彼女と、パチリと目が合った。
「あの、屋上って入っても平気なのでしょうか……?」
「担任に鍵を借りた」
理樹は冷静な顔に戻して、そう答えた。
今朝の告白騒ぎについては、既に他学年のほとんどの生徒にまで広がっていた。更なる騒ぎにならない話し合いの場所が必要だったので、理樹は使用許可を取ったのである。事情を話したらあっさりと鍵を渡された。
なるほどという表情をした沙羅が、慣れない様子で辺りを見ながらやってくる。その様子を見つめていた理樹は、拓斗の存在が警戒心を煽るのではないかと少し心配した。
今朝見た桜羽沙羅が、扉から戸惑いがちに顔を覗かせた。
彼女は空色だった瞳が、今は日本人特有の色をしていた。けれど腰まである彼女の柔らかな長髪は、日差しに当たっていなくとも優しげなブラウン寄りの色をしており、それは前世の頃と全く同じ色で、――理樹は思わずそっと目を細めた。
不意に、扉から屋上の様子を見ていた彼女と、パチリと目が合った。
「あの、屋上って入っても平気なのでしょうか……?」
「担任に鍵を借りた」
理樹は冷静な顔に戻して、そう答えた。
今朝の告白騒ぎについては、既に他学年のほとんどの生徒にまで広がっていた。更なる騒ぎにならない話し合いの場所が必要だったので、理樹は使用許可を取ったのである。事情を話したらあっさりと鍵を渡された。
なるほどという表情をした沙羅が、慣れない様子で辺りを見ながらやってくる。その様子を見つめていた理樹は、拓斗の存在が警戒心を煽るのではないかと少し心配した。