「…………あ、いや、やっぱなんでもねぇわ、佐々木」
「あははは、そうか? なんか木島から質問でもあるのかと思ったぜ」
「うん、底の知れない威圧感を覚えた弱い俺は、全力で回避することにした。お前がやばい方に進化していて、九条が実は過激派だったという事実には、驚きが隠せない」
木島は拓斗に見つめられながら、大人しく席に座り直した。「真剣な顔で言い切ったな」とツッコミを入れた男子生徒が、思い出したように理樹へ目を向けてこう言った。
「んで、実際のところどうなんだ? お前、桜羽さんと恋人同士に全然見えないって言われてるけど」
そこで、全員が目を向けて耳を澄ませ、教室内が静まり返った。見守りながらも、自分ペースな拓斗が、ポッキーを口にくわえて折る音が上がる。
理樹は頬杖をついて、質問してきたクラスメイトを横目に見やった。
「急がせるつもりはない。彼女に合わせてゆっくりやる」
「うわぁどうしよ、俺、お前に惚れちまいそうだわ」
「やばい、私の中で九条の株が急上昇してんだけど」
「私もそれ思った、ちょっとドキドキするよね」
女子生徒たちが小さな声で「一年とか二年経ったら、九条だけじゃなくて佐々木も結構イケメンになるんじゃない?」「あの二人、どことなく彫りが深いもんね」と話し出した。
それを聞いた木島が、盛大に机に突っ伏して「…………モテる奴なんて滅びればいい」と鼻声で呟いた。
了
「あははは、そうか? なんか木島から質問でもあるのかと思ったぜ」
「うん、底の知れない威圧感を覚えた弱い俺は、全力で回避することにした。お前がやばい方に進化していて、九条が実は過激派だったという事実には、驚きが隠せない」
木島は拓斗に見つめられながら、大人しく席に座り直した。「真剣な顔で言い切ったな」とツッコミを入れた男子生徒が、思い出したように理樹へ目を向けてこう言った。
「んで、実際のところどうなんだ? お前、桜羽さんと恋人同士に全然見えないって言われてるけど」
そこで、全員が目を向けて耳を澄ませ、教室内が静まり返った。見守りながらも、自分ペースな拓斗が、ポッキーを口にくわえて折る音が上がる。
理樹は頬杖をついて、質問してきたクラスメイトを横目に見やった。
「急がせるつもりはない。彼女に合わせてゆっくりやる」
「うわぁどうしよ、俺、お前に惚れちまいそうだわ」
「やばい、私の中で九条の株が急上昇してんだけど」
「私もそれ思った、ちょっとドキドキするよね」
女子生徒たちが小さな声で「一年とか二年経ったら、九条だけじゃなくて佐々木も結構イケメンになるんじゃない?」「あの二人、どことなく彫りが深いもんね」と話し出した。
それを聞いた木島が、盛大に机に突っ伏して「…………モテる奴なんて滅びればいい」と鼻声で呟いた。
了