その直後、沙羅の顔が遅れて真っ赤に染まった。ぶわりと体温を上げた彼女の瞳が潤んで、小さな耳まで赤くなる。この流れは全く予想していなかったのか「え」「うそ」「へ……?」と挙動不審に小さなパニックを起こした。
理樹は、目に焼き付けるようにその様子をじっと見つめたまま、先程確認した警戒されないらしいギリギリの位置まで、上体を少し彼女の方へ寄せた。
「でも、お前が『イエス』だと答えたら、きっともう手放してやれない」
「手放、さ、ない……?」
オウム返しのように、沙羅が口の中でどうにか反芻する。理樹は特に表情も変えず「簡潔に伝えると」と言葉を続けて、彼女の小さな顔を両手で包んで自分の方へ向かせた。
少し腰を上げた際、ベッドがギシリと軋む音を上げた。理樹はその音を聞きながら、更に顔の温度が上がった沙羅を間近から見下ろした。
「お前が『イエス』と答えたら、俺は結婚まで真剣に考える」
「!?」
「俺は生易しい恋愛は知らないからな。それでもいいのなら――」
そこで理樹は一度言葉を切り、沙羅の顔からするりと手を離した。
理樹は、目に焼き付けるようにその様子をじっと見つめたまま、先程確認した警戒されないらしいギリギリの位置まで、上体を少し彼女の方へ寄せた。
「でも、お前が『イエス』だと答えたら、きっともう手放してやれない」
「手放、さ、ない……?」
オウム返しのように、沙羅が口の中でどうにか反芻する。理樹は特に表情も変えず「簡潔に伝えると」と言葉を続けて、彼女の小さな顔を両手で包んで自分の方へ向かせた。
少し腰を上げた際、ベッドがギシリと軋む音を上げた。理樹はその音を聞きながら、更に顔の温度が上がった沙羅を間近から見下ろした。
「お前が『イエス』と答えたら、俺は結婚まで真剣に考える」
「!?」
「俺は生易しい恋愛は知らないからな。それでもいいのなら――」
そこで理樹は一度言葉を切り、沙羅の顔からするりと手を離した。