「僕は大変不満だ。お前は、沙羅ちゃんが勇気を出した人生最大の告白の途中でぶっ倒れるし、それに――」

 そこで、レイが突然瞳を潤ませて、怒ったまま拓斗を勢いよく指した。


「二人きりになった途端、なんでこいつに僕が告白されるんだ!」


 思い出しただけで鳥肌がああぁぁぁぁッ、とレイが首のあたりをゴシゴシと手でこすった。
 理樹はしばしその様子を眺め、それから上体を起こして、しれっとした顔で腰かけている拓斗へ視線を戻した。

「……お前、あいつに何したんだ?」
「後ろからちょっと腕を掴まえて、首の方を手で引き寄せて耳元で愛の告白をしただけだけど?」
「………………」
「いやぁ、その時になったら男ってのはアレだね。自分でもびっくりするくらい積極的になるもんだなぁって実感したわ」

 拓斗は、そう言ってにっこりとした。

 こいつは見掛けによらず、どこか手慣れている感もあるらしい。理樹としては、レイが奴の好みのタイプだったというのも、なんだか意外である。