「『子供みたいだ』なんて俺は思わない」

 再び、室内に沈黙が降りた。
 嫌われたりしたら、という質問への答えなのだと気付いた沙羅が、少し身動ぎして制服が擦れる音がした。

 外の夕焼け空は、短い間に淡い黄金(こがね)色へと表情を変えつつあった。それがやけに目に沁みて、理樹はそっと目を細めた。

「しっかり話しておいで、と佐々木君にアドバイスされました」
「そうか」
「途中で来てくれたレイちゃんにも、頑張っておいでって」

 どんな結果になるのか分からない。
 どういった変化を迎えるのかだって、想像はつかない。

 それでも、これでひとまずの決着がつくのだろう。

 理樹はそう思って、彼女へと視線を戻した。すると沙羅も、こちらへと潤んだ目を向けてきた。


「…………私、あなたが好きです」


 沙羅が震えそうな声で、それでもしっかりと、もう何十回目かも分からない告白の言葉を口にした。

「初めて見た時、あなたに一目惚れしました。時間を過ごす中でもっと好きになって、……胸が苦しくて上手く呼吸が出来ないくらいに、あなたが好きなんです」