少しの運動も出来ないから、ただの箱入り娘かと思っていた。けれど夫婦として共に暮らす中で、身体が弱い女だったと気付いた。
 ようやく子が授かったのは結婚して二年半が過ぎた頃で、一番目の子供を産む時にも大変な難産だった。それでも彼女は、我が子を抱いて「次は女の子がいいわ」と幸せそうに微笑んだ。

 子供は男の子が二人、そして最後にようやく女児を授かった。子供たちはみんな元気で健康であったものの、母であるサラの身体だけが次第に弱っていった。だから、彼がよく抱き上げて運んだのだ。

 小さくて軽いな、と常套句のように言うたび、彼女は「子供っぽいって言いたいの?」と可愛らしく頬を膨らませていた。

 残念ながら結婚した数年後には、子供みたいだと思ったことは一度だってない。彼女はすっかり大人の女性へと成長していて、いつだって彼は、彼女だけに男としての熱を煽られた。執事には「いつまで新婚気分なのですか」とよく怒られもした。