前世の出来事を抜きにしても、俺だったらまず警戒する。

 理樹はそう思いながら、顰め面で拓斗を見つめた。自身に置き換えて考えてみろよ、と視線で促された拓斗が、途端に自信をなくしたように視線を泳がせた。

「あ~……多分、オーケーはしないな。そこまで条件が揃ってると返って警戒するというか――」

 そこで、拓斗は己の結論を導きだした様子で一つ頷き、真面目な顔をこちらに戻してこう言った。

「――運気がそこで全部なくなって、不幸のどん底に落ちる気しかしない」
「そうだろ」

 そもそも『出会って僅かの間の一目惚れによる告白は断りました』で終わらせて、放っておける問題ではない。理樹としては、彼女の行動に他の理由や目的があるのか気になっていた。

 どことなくピリピリとした空気を発している理樹の思案顔を見て、拓斗は声をかけた。

「考えようによっては、初っ端からとんでもない迷惑を被られたってことになるよな。どうすんの?」
「ひとまず話をして、本当の理由がどこにあるのか聞き出す」

 理樹は、思案しながらそう答えた。

 なぜ、あの状況下で告白という行動を起こしたのか。それを聞き出して、今、置かれている状況について把握しなければ考えようがなかった。