朝に告白してきた桜羽(さくらば)沙羅(さら)は、理樹が通う幼稚園を変更することになったきっかけの、あの女の子だった。前世で出会ったとき彼女は十六歳で、今の顔とそっくりそのまま一緒だったから、そのおかげで目の前に現れた瞬間に一目で彼女本人だと分かった。

 というより、なぜ彼女が一般の高等学校を受験しているんだ?

 彼女は確か、いいところの社長令嬢であったはずだ。あのまま私立の学校を高校まで進んで、女子大にでも入るのかと思っていたから、まさか今になって、このような形で再会するとは思ってもみなかった。

「というか、一目惚れってなんだ…………」

 机に突っ伏したまま、理樹は思わず喉の奥で「ぐぅ」と呻った。

 まさか幼稚園の頃の事を覚えていて、ずっと捜していたとかいうオチじゃないよな?
 どうして幼稚園を変えてしまったの、と問われるのは面倒臭い。そもそも、彼女に再会したことで自分が前世の記憶を取り戻したような状況が、もし彼女の身にも起こっていたら……という展開だったとしたら最悪だ。