露骨に怪しさ満載である。おちおち仮眠もとっていられないな、と理樹は上体を起こして、少し寝癖のついた頭をかいて雑に整えた。辺りを見回してみると、寝る直前までいたはずの拓斗の姿だけが消えていた。
あいつが教えたのかと察して、理樹は仏頂面で立ち上がった。腕を伸ばして筋肉の強張りをほぐしていると、沙羅が後ろに手をやって、そわそわとした様子でこう言った。
「えぇと、その、随分疲れているみたいだったから……」
理樹は伸ばしていた腕を下ろして、しばし考える間を置いた。
「……………少し夢見が悪かっただけだ。気にするな」
最近は、前世の頃の記憶をよく夢に見る。そのせいで夜はあまり眠れていなかった。抑えきれない叫びを枕で押し殺し、痛む喉に水を流し込んで朝日を待つ時間が、何気なく脳裏に思い出されて消えていった。
意識を戻すように、頭を動かして現在の時刻を確認した。
そろそろ戻らないと午後開始の授業に遅れる、そう現状を把握したところで、理樹はふと沙羅を振り返った。
あいつが教えたのかと察して、理樹は仏頂面で立ち上がった。腕を伸ばして筋肉の強張りをほぐしていると、沙羅が後ろに手をやって、そわそわとした様子でこう言った。
「えぇと、その、随分疲れているみたいだったから……」
理樹は伸ばしていた腕を下ろして、しばし考える間を置いた。
「……………少し夢見が悪かっただけだ。気にするな」
最近は、前世の頃の記憶をよく夢に見る。そのせいで夜はあまり眠れていなかった。抑えきれない叫びを枕で押し殺し、痛む喉に水を流し込んで朝日を待つ時間が、何気なく脳裏に思い出されて消えていった。
意識を戻すように、頭を動かして現在の時刻を確認した。
そろそろ戻らないと午後開始の授業に遅れる、そう現状を把握したところで、理樹はふと沙羅を振り返った。