「一年生だった僕と彼女が、それぞれ生徒会長と風紀委員長に就任してから、入学式の挨拶といったのは取っ払ったからね。来月の生徒報告会の時に、正式に舞台で挨拶する予定なんだ」
とはいえ、と西園寺は一度言葉を着ると、ホイッスルを意味もなく細い指先で転がしながら理樹へと視線を戻した。
「君は、噂話とかもあまり好きじゃなさそうだしね。僕が呼び出した時も『もっと屈強な奴かと思った』って顔に出ていたよ」
「失礼な後輩ですみません」
「あははは、挨拶が堅苦しいな。度胸が据わってるんだねって、褒めたんだよ」
西園寺は困ったようにちょっと笑って、それから、第一レーンと第二レーンのスタート地点にいる二人の少女を見やった。
「――ねぇ、九条理樹君。君は何も言わないでいいの? 彼女たち、そろそろ本当に勝負を始めてしまうよ?」
質問を振られた理樹は、何も答えなかった。腹の読めない風紀委員長は「君ってなかなか、何を考えているのか分からない生徒だよね」と独り言のように話しを続けた。
とはいえ、と西園寺は一度言葉を着ると、ホイッスルを意味もなく細い指先で転がしながら理樹へと視線を戻した。
「君は、噂話とかもあまり好きじゃなさそうだしね。僕が呼び出した時も『もっと屈強な奴かと思った』って顔に出ていたよ」
「失礼な後輩ですみません」
「あははは、挨拶が堅苦しいな。度胸が据わってるんだねって、褒めたんだよ」
西園寺は困ったようにちょっと笑って、それから、第一レーンと第二レーンのスタート地点にいる二人の少女を見やった。
「――ねぇ、九条理樹君。君は何も言わないでいいの? 彼女たち、そろそろ本当に勝負を始めてしまうよ?」
質問を振られた理樹は、何も答えなかった。腹の読めない風紀委員長は「君ってなかなか、何を考えているのか分からない生徒だよね」と独り言のように話しを続けた。