「告白を断られているのに、しつこく追いかけてアタックし続けるなんて、迷惑だと思わないの?」

 きつい言い方だと察した女子生徒が、「さすがにそれは言いすぎなんじゃ――」と沙羅に味方しようとした時、


「私はッ、九条君が本当に好きなんです!」


 宮應のハキハキとした声を、遮るほど大きい甲高い叫びが教室に響き渡った。初めて聞くのではないかと思うような沙羅の大声は、悲鳴のような威力をもって一瞬場の沈黙を吹き飛ばしていた。

 レイが目を剥き、生徒たちがびっくりした様子で彼女を見る。先程まで悠長にしていた拓斗も、意外だと言わんばかりに目を見開いた。

 腹の底から声を絞り出した沙羅が、きゅっと唇に力を込めて宮應を見つめ返した。怖気づくか小さくなるかと予想されていたものの、その大きな瞳を少し潤しつつも珍しく強い眼差しでしっかり宮應を見据える。

「九条君を一目で好きになりました。私は、一緒に過ごす中で彼のことがもっと好きになって……そもそも、どうして違う学年の先輩がここにいるんですか?」