「三学年の教室は、ここから二階分も離れているのよ!? だから生徒会に入るか番号を交換して、まずは私と交流を図りなさいッ」
「困ります、お断りします。そして『気になっている』というのはあなたの勘違いだと思いますので、即刻、大人しく速やかにお帰りください」

 理樹は距離感を与える敬語口調で即答して、その個人的な要求をバッサリ切り捨てた。前世の経験からすると、こういう勘違いタイプは少し考える時間を与えれば、自分で気付いて熱も冷めるだろう。


 その時、沙羅が男装の風紀委部員のレイと共に、教室に顔を覗かせた。
 二人が登場した瞬間、そちらを振り返ったクラスメイトたちが、ピシリと音を立てて固まった。


 まるで密会か三角関係の鉢合わせ、または不倫現場か色事の修羅場を見られたような空気になっているのを見て、理樹はゆっくりと眉を顰めた。

 そもそも沙羅とは付き合ってはいないし、付き合う予定だってない。

 お前ら揃って見事に固まっているが、一体何が言いたいんだ?