目の前に立った生徒会長の宮應静は、校内で普段から見掛けている少女たちよりも背丈が高かった。こうして改めて近くから見下ろしてみると、顰め面でも美しい、という表現が浮かぶ。

「昨日はどうもありがとう」

 思わずじっと見つめてしまうと、宮應がそれに対して特に意見するわけでもなく、淡々とそう言った。

 その言葉には、前世の社交界でよく見掛けたような静かな怒気などは感じられなかった。どうやら彼女の無愛想な顔は、自分と同じ地顔に近いもののようだと理樹は察した。
 ただ一言の感謝を伝えるためだけに、わざわざ来たのだろうか?

 かなり気の強そうな女性なので、今後は邪魔しないでと言うつもりなのだろうかと思案しながら、理樹は「はぁ。それはどうも」と返事をした。

 すると、それを聞き届けた宮應が「それで、どうかしら」と言葉を続けた。

「困っている人にすぐ手を差し伸べられる人も少ないと、私は思うのよ。あなた、生徒会に入らない?」
「は……?」