物の数分もかからず、八人の学ランの男子生徒たちが地面の上で伸びた。女子生徒は長い髪を鬱陶しそうに手で払うと、その細腕一つで男たちの襟首や足をぞんざいに掴んで引きずり、ゴミだと言わんばかりに一ヶ所に積み上げる。

「………………」
「あの人、うちの学校でも有名な武道派生徒会長なんだってさ。学ランの人たちは以前の中学校で一緒だったらしくて、一年の頃からああやって決闘挑んでるって、バンド部の先輩が話してた」

 木島の話を聞きながら、理樹は無言で席に座り直していた。

 拓斗も窓へ伸ばしていた首を引っ込めて、二学年、三学年にとっては恒例になっているらしい『生徒会長の名物の返り討ち』に瞳を輝かせているクラスメイトたちたをよそに、親友にこっそり言った。

「……あのさ、理樹? 俺、高校に入ってからのお前の女運を考えると、ちょっと気になるんだけど」
「……ははっ、まさか」

 理樹はそう答えながら、昨日は彼女にとって要らぬ世話を焼いたらしいことを考えた。邪魔をしたようなものだろう。

 今は沙羅のことだけで手いっぱいである。
 頼むから何事も起こってくれるなよ、と理樹は思った。