「理樹の真顔に、これほどまで味を語らせるとは……」
拓斗が、三年の付き合いがある親友の横顔からクッキーの味について察し、そう呟いた。
同じように理樹の様子を見守っていたクラスの女子生徒が、沙羅の付添い人である二人の少女に目を向ける。彼女たちが「食べられないことは、多分ないとは思うのだけれど」と答えながらぎこちなく視線をそらし、沙羅が静々と佇んだまま「ごめんなさい」と言った。
周りの男子生徒たちが、顔面に大きな変化も出さず二枚目のクッキーを食べた理樹に、勇者だと言わんばかりの健闘を称える目を向けた後、沙羅が持つクッキーが入った袋へと視線を戻してゴクリと息を呑んだ。
当たりを引けば天国だが、外れを引いても、ある意味へたをすると舌と胃が天国に逝ってしまうかもしれない。彼らの眼差しはそう語っていた。
沙羅が無言で二枚目のクッキーを食べきった理樹へ、チラリと上目を向けた。
「あの、九条君、大丈夫……?」
「食感に変わりはないが、不味い」
理樹は間髪入れず、そして躊躇なくそう答えた。
拓斗が、三年の付き合いがある親友の横顔からクッキーの味について察し、そう呟いた。
同じように理樹の様子を見守っていたクラスの女子生徒が、沙羅の付添い人である二人の少女に目を向ける。彼女たちが「食べられないことは、多分ないとは思うのだけれど」と答えながらぎこちなく視線をそらし、沙羅が静々と佇んだまま「ごめんなさい」と言った。
周りの男子生徒たちが、顔面に大きな変化も出さず二枚目のクッキーを食べた理樹に、勇者だと言わんばかりの健闘を称える目を向けた後、沙羅が持つクッキーが入った袋へと視線を戻してゴクリと息を呑んだ。
当たりを引けば天国だが、外れを引いても、ある意味へたをすると舌と胃が天国に逝ってしまうかもしれない。彼らの眼差しはそう語っていた。
沙羅が無言で二枚目のクッキーを食べきった理樹へ、チラリと上目を向けた。
「あの、九条君、大丈夫……?」
「食感に変わりはないが、不味い」
理樹は間髪入れず、そして躊躇なくそう答えた。