それについて理樹が口を開く前に、こちらの頭髪を見た拓斗が、ニヤリとしてこう言った。

「ほんとに散髪してるとか、ちょっと笑った」
「お前だって同じだろ。というか、そんなに茶色く染めて大丈夫なのか?」

 すると、拓斗が「ふっ」とどこか勝ち誇ったような表情をした。

「校則内容を確認して、ギリギリオーケーな範囲で染めてもらったから抜かりはないぜ。運動部の入部が厳しそうなのが難点だな」
「中学のサッカー部で根を上げていた奴が、何を言ってんだ」
「ははは、もう運動系はこりごりだな。高校では自由を謳歌する!」

 拓斗は凛々しい顔で言い切った。どちらが声を掛けたわけでもなく歩き出してすぐ「とはいえ、帰宅部って選択は無しだな」と、彼は続けて自身の考えを語った。

「俺はお前みたいに頭が良くねぇから、大学の推薦書とかに書けるよう部活くらいはやっておこうと思ってさ。ひとまずは、暇潰しがてら遊べるような部活を作るつもりだぜ」