「マネージャーの仕事って、結構しんどいかも‥‥‥」
練習終わり、部員たちが打った野球ボールをグラウンドで一人で拾っていると、「恵、久しぶりだな」と、そんな声が私の耳に届いた。

「先輩‥‥‥」

私は声のした方に、視線を向けた。そこにいたのは、たしかに私の好きな吉田拓也先輩だった。

「みんな、ひどいよな。マネージャーに雑用させて、先に帰るなんて。ごめんな、恵」

そう言って先輩は、一緒に野球ボールを拾ってくれる。

ーーーー今,想いをぶつけないと。また、先輩に告白できないまま離れてしまう。

そう思った私は、「あの私、ずっと先輩に言いたかったことがあるんです」

と、大きな声で言った。

「な、なに?」

先輩は驚き、パチパチと瞬きを繰り返す。

「私、実は野球よりも、先輩の方が好きです」

ーーーー言えた。

思い切って告白したその声は、恥ずかしいぐらい自分でも大きな声だった。それと同時に、拾ったボールがころころと先輩の足元に転がる。