ーーーーあれから、二年の時が流れた。

「今日から、野球部のマネージャーをやらせていただくことになりました、新井恵美です」

あれから私も先輩の後を追いかけて、東京の学校に進学した。

青く澄み渡った、夏空の下。私の固い声が、せみの鳴き声とともに野球部の耳に聞こえる。

「というわけで、今日からマネージャーをやることになった新井恵美だ。みんな、よろしくな」

キャプテンの吉田拓也先輩が私の肩にポンと手を置いて、あいさつをした。

ーーーー覚えてますか?先輩、私のこと。

私は顔を赤ながら、ちらちらと吉田先輩の方に視線を向けた。