「結局、吉田先輩は私に気づいてくれなかったなぁ‥‥‥」

私は結局最後まで、野球部の練習が終了する時間まで見ていた。部員たちがしゃべりながら校門をくぐる。それと同時に、私も校門を出ようとする。
「めずらしいね。女の子に、野球好きなんて」

校門を出てすぐ、男性の低い声が私の耳に聞こえた。

「えっ!」

私は、慌てて声のした方に視線を向けた。私の瞳に、好きな吉田先輩が映った。

「吉田先輩‥‥‥」

あまりにも彼との近すぎる距離のせいで、私の顔はぽっと赤くなる。

「途中まで一緒に帰ろうか?いつも教室の窓から、見てくれていた子だよね」

「は、はい」

私は彼の発言を聞いて、驚いた。

ーーーーー気づいてくれてたんだぁ。

私は、うれしかった。