新人賞を取ったことから最初は注目されていたが、次第にネットに投稿している小説も読まれなくなっていき、コメントも少なくなった。僕には小説家になる才能なんてなかったんだと思い、僕は小説を書くのをやめた。

 僕の日常は逆戻りした。平日は学校に行き、無心で授業を受け、休日は家に引きこもっていた。毎日が苦しかった。特に悩みがあるわけではないが平凡に過ごし、楽しみがない人生がつらかった。そして今後の人生も楽しみもなく死んでいくんではないだろうと思った。全てがどうでも良くなり携帯を見ていると小説投稿サイトの通知がきていることに気づいた。そこには普段投稿していないにも関わらず、1件のコメントが来ていた。
『この小説は何回読んでも泣けました。最近投稿されていないですが、また投稿楽しみにしてます』
 僕の小説を楽しみにしてくれている人がいると思うだけで嬉しくなった。1番初め、彼女と出会う前に小説を書いた時は反応が来るだけですごく嬉しかった。コメントが来なくてもいいねが来るだけでまた書きたいと思えてた。あの頃の僕は純粋に小説を書くことだけを楽しんでいた。最近の僕はその気持ちを忘れていた。彼女が好きだった小説は純粋に書いていた頃の小説だろう。僕はもう1度小説を書くことにした。