*

 十月の下旬に差し掛かった。本格的に冷え込んだ朝を迎えたのは、連日続いた雨がようやくやんだ頃だった。

 透に励ましてもらってから、しばらく休んでいた部活を見学をするようになった。動かなくてもストレッチは念入りに、マネージャーの子と一緒に部員のサポートに努める。部員からの風当たりはまだ強いけど、同じ種目を練習している後輩からは喜ばれた。
 いつでも戻れるように、頭の中でイメージトレーニングを繰り返す。しばらくして、担当医から軽く走る程度なら練習に参加しても良いと許可を貰えてからは部活に専念した。

 今は難しくてもいつかは跳ぶと決めてからは、見て見ぬふりして来たものを拾い集めていく感覚だった。
 耐え忍ぶことは時にストレスかもしれない。それでも今は、着実に復帰できるように調整していくしかない。

 ただ、部活に顔を出す時間が増えた反面、公園に立ち寄ることが極端に減った。
 透にしばらく来れないことを伝えておけばよかった。
 大会の前夜、準備を済ませて寝るだけの状態になると、スマホで天気予報を確認する。明日の集合は少し遅いから、公園に寄っても充分間に合う。透に会って、少しだけでも話したい。

 ――晴れるだろうか。 

 晴れていれば、きっと彼は公園にいる。