【登場キャラクター】

■主人公
名  前_アル
性  別_男性
年  齢_24歳
職  業_転生貴族→武闘家(※スキルがどんどん増える)
旅の目的_義弟に奪われた家名を取り戻すこと
能  力_トレーディング(交換)&サーチング(検索)
    ・交換対象物を指定すると、半径3km以内の”交換してくれる相手”を探せる
    ・指定をしないと、半径は30km以内の”何かと交換してくれる相手”が探せる
    ・知識やスキル、権利なども交換できる
    ・意識のない人(寝ている人)に触れていれば、強制的に交換できる
    ・貨幣は、交換も検索もできない
性  格_正義感はそこそこ強い、効率重視、面倒事は避けがち
     →旅を続けるにつれ責任感が増していく


■仲間1/幻獣(フェンリル)
名  前_ミロ
性  別_オス
年  齢_100歳(精神年齢は人間の10歳くらい)
旅の目的_ハンターに攫われた恋人(番)を探すこと
能  力_変身
     ①通常形態(体長10メートルの狼)
     ②子犬形態(普通の子犬)
     ③人間形態(10歳くらいの少年)
性  格_純粋、恋人のことになると人が変わる、アル以外の人間はあまり信用していない様子


■仲間2/錬金術師
名  前_コリン
性  別_女性
年  齢_19歳
職  業_錬金術師
目  的_賢者の石(霊薬エリクサーの原料)を見つけること
能  力_アイテムや武器の制作(※ほぼなんでも作れる)
性  格_クール、無愛想、超然的で世間知らず、見た目は14歳くらい


■仲間3/剣闘士
名  前_ダイス
性  別_男性
年  齢_37歳
職  業_剣闘士
目  的_超鉱物オリハルコン(最強の剣の材料)を集めること
能  力_剣術
性  格_豪胆、実直、人に好かれやすく生活力がある、体も声もでかい


■仲間4/トレジャーハンター
名  前_フー
性  別_女性
年  齢_29歳
職  業_トレジャーハンター(泥棒)
目  的_「古エルフの財宝」を見つけること
能  力_変装、解錠、体術、交渉など
性  格_セクシー、現実主義者、面倒見がよい姉御肌


■悪役
名  前_ゼノ
性  別_男性
年  齢_800歳(見た目は25歳くらい)
職  業_悪魔→貴族の執事→貴族→皇帝
目  的_人間を支配すること
能  力_魔法
性  格_冷酷、快楽主義者、話し方は礼儀正しい



【1話】
伯爵家の長男として異世界に転生した主人公・アル。
物々交換ができるだけの能力【トレーディング】がゴミスキルだったため、
父母の死後、義理の弟に跡継ぎの座を奪われる。
弟の計略により、森の中の洞窟で刺客に殺されそうになるが、
洞窟に住んでいた悪魔・ゼノに助けられ、
貴族の証である青い瞳と引き換えにスキル【サーチング】をもらう。
【サーチング】と【トレーディング】を組み合わせて、
持っていた"ポーション"と"従者"を交換してくれる相手を見つけるが、
その相手は森の中で怪我をしていたフェンリルのミロだった。
"ポーション"と"忠誠"を交換して従者になったミロと共に、
このスキルで「わらしべ長者」のように、"物々交換"で弟から家を取り返すことを誓うアル。


【2話】
近くの村に向かう途中、山賊に襲われるアル達。
老武闘家(村の用心棒)に助けられ、山賊達は逃走する。
村に到着し、"高価な服"⇔"宿代・飲食代"に交換する。
旅を続けるために格闘術が必要と考え、武闘家に会いに行くが、
"格闘術+村を守る責任"のセットならば交換してもいいと言われ、いったん村に戻る。
村の酒場で、山賊の首領が武闘家の元・弟子だと聞かされる。
再び武闘家に会いに行くと、山賊達が現れる。
アルは武闘家の条件をのんで交換を行い、格闘術で山賊を倒す。
気絶している山賊と、"村を守る責任"と”山賊の罪”の強制交換。
山賊たちは改心し、以後、村の用心棒になる。
アル達は村を後にし、町を目指す。


【3話】
町に向かう途中、魔物を倒して錬金術の材料を大量に入手。
町のギルドに換金しに行くが、二束三文の値を付けられギルドを後にする。ギルドがピンハネや殺人を行うギャングのような存在だと、町の人に教えてもらう。
スキルを使って、直取引してくれる旅の錬金術師・コリンを見つける。
「街に着いたばかりの私の存在がなぜ分かったのか」と怪しまれるが、強力な剣などと交換してもらえる。
コリンに「賢者の石」について訊かれ、試しにサーチングするとギルド長の屋敷にあると分かる。
屋敷の前でアルは別れ、コリンだけが中に入る。
賢者の石は純度が低く、コリンが帰ろうとすると、ギルド長たちに襲われる。
心配して追いかけてきたアルとミロが助けに入り、一味を叩きのめす。
命乞いするギルド長と、"命"⇔"ギルドの経営権"を交換し、町の人に感謝される。
コリンに、まずは辺境伯を目指すことを勧められ、北の辺境を目指すことに。
コリンも同行することになる。



【補足】
スキルが分かりづらいので、こんな感じです。


アルは教えられたとおり、ハイポーションを手に持ち、頭の中で「従者」をイメージしながら『検索(サーチング)』と唱えた。
すると、自分の体の奥から波が立つような感覚が沸き上がり、その波はアルだけに見える薄い光のベールとなって周囲に解き放たれた。
ベールは、周囲にある動物はもちろん植物にいたるまですべての生き物の魂に、隈なくアルが望むものを問いかけながら広がっていく。
やがて、3kmほど離れたところでその波は静まり、消えた。
数秒後、森の中の1点から強く輝く一本の光の線が、アルの問いかけに応える狼煙のように、空に向かって立ち上がった。
初めて使うスキルだったが、その光の柱を見て、アルは直観的にそれが自分の「交換」の求めに応じてくれる誰かのサインであると確信した。
距離にしておよそ2kmほどの、深い森の中。
普通であれば、従者になってくれるような人が何故そんな場所にいるのかと疑問に思うところだが、初めてのスキル使用とその成果に興奮したアルは、ハイポーションを握りしめ、無心で光の柱が示す方向に向かって駆け出した。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

「誇り高き幻獣の一柱であるこの私が嘘偽りを言うとでも思うのか? この傷を癒してくれるのならば、我が数百余年の生涯にわたり、またその命が尽きた後も未来永劫、貴様に忠誠を誓うことを約束しよう」
フェンリルはそう言って、アルの目をまっすぐに見つめた。
幻獣の気高さについて語られた伝説はいくつも聞いたことがあるし、少なくともこの目は嘘をついてはいない。
アルも頭ではそれを理解しているが、それでも体長10mを超える巨大な手負いの狼に近づくとなると、本能的な恐怖で体が固まってしまう。
そして何よりも、つい先刻、信頼していた弟と執事に裏切られ命を狙われたという事実が彼の心を縛り、迷わせていた。
「……」
フェンリルには、アルが思い巡らしている迷いが何か分からなかったが、それが心の奥深くに根差すものとは理解できた。そして言った。
「か弱き人間よ。助けられぬ事情があるというのなら構わぬ。どうせ一度は死を覚悟したのだから」
(!)
その言葉が、アルの心の中の悲しみや恐怖を吹き飛ばすように鳴り響いた。
(一度は死を覚悟したのだから!)
アルはフェンリルをまっすに見つめて言った。
「……ひとつだけ、訊きたいことがある」
「なんだ?」
「……その傷が癒えて、自由になったら何をするつもりだ?」
「自由になったら?」
「そうだ。俺には俺の目指しているものがある。お前は何を望む?」
「いいだろう。私の目的は、人間にさらわれた大切な仲間を探し出すことだ。それだけが私の目指すものだ」
その言葉でアルの決心はついた。
フェンリルに近づき、手に持っていたハイポーションをその足にふりかけた。
みるみると傷は塞がり、やがて青白く輝く毛で覆われていく。
そして傷が癒えたその瞬間、スキル【トレーディング】が発動し、フェンリルの体から光り輝く何かが飛び出した。
優しく強い光で輝くフェンリルの「忠誠」は、そのまま静かにアルの体に吸い込まれていった。