小さな白い星のような、五弁の白い花が、わたしの周りにそっと降り注ぐ。


 少し冷えた、それでいて今のわたしよりは温かい、よく見知った懐かしい指先が、次々とわたしの周りを白く飾り付けていく。


 この場から見える、大人になったかつての同級生たちは、今日はみんな黒い服を着ていて、それはまるで、あの頃の制服姿のようだった。


 死んでしまうって、もう二度とみんなとお揃いの服が着られなくなることなんだなと、白い花に囲まれて、真っ白な衣装に包まれて横たわるわたしは、ちょっと切なくなった。


「凛」


 そして、ここにいる誰よりも聴き慣れたその声が、わたしの組んだ指先に、そっと何かを滑り込ませた。


「今夜はね、星が流れるよ。彗星が来るんだって」


 わたしのためにかつて王様になってくれたその人、今、わたしの冷えた頬に触れたロマンチストのその指先から、ほんの少し、あのときと同じ、薄青い薄荷の匂いがした。


 ごめんね、もう馬鹿もキモいも言えないけれど。


 今、指先に触れる「当たり」と書かれた小さな木片。その表面に残るあなたの体温は、すぐにこの箱の冷気の中で消え去ってしまうだろう。それが少し残念だった。


 
 ねえ。信じるよ。王様。


 今度は、わたしが願いをかけてみるね。今夜、流れるその星に。





 ――そろそろ、おしまいの時間が来る。