カラカラカラ。回る車輪の音がまだ残る中、陽太はひょいとサドルから立ち上がった。 そのままうーん、と声を出して背伸びをする。 その首筋に、うっすらと新たな汗が浮かんでいることに、わたしは今気づいた。 「……ねえ、何祈ったの、そんなに」 「先に言っとくけど、馬鹿とキモい禁止な」 「わかった」 ――星野さんが好きなものに、おれもなりたいです。 ぐるぐるぐる、が、胸の中でぱん、と音を立てて弾けた。