プラン? 


 何を言っているんだろう、この死神。


 体を駆け巡る熱さと冷たさを、圧倒的な訳の分からなさが押し潰していく。


 心臓が巨大な拳でぎりぎりと握り込まれていくようだ。


「でさ、実は裏メニューとして、人生にはプランBが用意されてんの。ちなみにそっちバージョンだと、彼めっちゃ長生きするよ。銀髪の老紳士になれるよ。と言うことで、実は今、彼の人生をそのプランBに切り替えることができるんだけどさ。それにはひとつ条件がある」


 話、聴いてみる? 


 男は小馬鹿にしたようにも見える小首の傾げ方で、わたしの強張った顔を覗き込む。


「あ、ちなみに話を聞いている間は、君とおれ以外のこの世界の時間は止めっぱなしなので、君の大切な彼は、まだあの世へはいけません。どうよ?」


「話して」


「いいねー、その即断即決っぷり」