「なあなあ美織」


「なに?」


「このさ、プランBの人生でも、俺とまたずっと一緒にいてくれる?」


「……CでもDでも一緒にいる」


「え」


 口をまんまるく開けたまま、わたしの顔を見上げた秀和の顔を、「ちょっと、物凄い間抜け顔だよ」と素早くスマホでパシャリと撮影した。


 この人とはもう長い付き合いになるけれど。


 わたしは、あまりこういうことを本人に直接言うのに慣れていない。


 正直、どうにも照れ臭くて、わたしは撮ったばかりの画像をスマホアプリで加工するフリをして、秀和から視線を逸らした。


 妙な沈黙が続く。続きすぎて、再び口を開くタイミングを逃したわたしは、そのまま本当に画像をキースヘリング風味に加工し続け、その出来栄えの良さに、うっかり笑ってしまった。