ドアを閉めて自室のベッドに座ると、そのままぽふっと仰向けに寝る。
 シャルロッテの頭の中ではエルヴィンの優しい微笑みや頬に触れられた時の感触、抱きしめられたぬくもりが思い出された。

(どうして、こんなに寂しいの?)

 自分自身をぎゅっと抱きしめてみても、エルヴィンの腕の中のような満足感はない。

(エルヴィン様の声を聞きたい。お話したい。もう一度抱きしめてもらいたい……)

 シャルロッテは形式上の妻ではなく、もう一人の女性としてエルヴィンを欲していた。
 寂しさで涙が頬を伝う。

「お仕事なんてなければいいのに……」

 思わず口をついて出てしまった言葉にシャルロッテは驚く。

(私、なんてこと……一生懸命お仕事なさっているのに)

 シャルロッテはベッドの上で天井を見上げながら何度も考える。
 でも、何度考えても「エルヴィンに会いたい」ということしか出なかった。

(経験したことないこの変な感情はなんなのかしら)


 恋をしたことがない彼女が、これが恋であることに気づくのはもう少しあと──