一方、昼食を終えたシャルロッテは『ノルマ』の達成に向けて作業をするために机に向かう。
 本日のノルマである手紙の代筆のために、手紙が汚れないようにするために机の上をスカートで拭き上げ綺麗にする。
 机が綺麗になったことを確認すると、そこに大量の紙とペン、インクを用意する。

(私にできるのは手紙を書くことくらいなんだから、しっかりお役に立たないと)

 そういって、シャルロッテはペンを持って紙にすらすらと文字を書いていく。

「はぁーー」

 ところが、暖房器具などないこの「離れ」と言われるボロ小屋は凍えるような寒さであり、シャルロッテは手に息を吹きかけ温める。
 隙間風があちこちから入る建付けであり、雨が降ったときには当然雨漏りもしてしまう。

 明かりは薄暗く、小さな窓から入る光を頼りにシャルロッテは器用に文字を書く。
 シャルロッテの作業机はただの板を重ねただけであるため、机の上がへこんでいたり溝ができていたりとデコボコして書きづらい。
 それでもシャルロッテはそのデコボコの具合に合うように紙を置き、上手に文字をしたためる。

「今日は公爵家へのお手紙ね」

 シャルロッテは手紙を書く上で最低限の教養は、ヴェーデル伯爵夫人の命で来た家庭教師より教えられている。
 しかし、逆に言えばそれ以外のことは何も教えられていなかった。
 シャルロッテは自らの家族にも虐げられ、メイドにも無視される。

 なぜ、このような境遇に彼女は身を置くことになったのか。
 それは彼女の「容姿の秘密」が関係していた。