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お祖父ちゃんの家に来てから、一週間が経った。

藍蓮様もそうだけど、神獣人はコミュ力が高いのか?
一緒に来た櫻葉さんは、すっかりここに馴染んで皆んなの人気者になった。

毎日の生活のリズムもできた。

ここは山が多いせいか?同じ都内でも、暑さが違って過ごしやすいし、早朝は特に、夏真っ盛りではずなのに涼しい。

その時間帯に、櫻葉さんと散歩をして、ポチに会いに行くのが、すっかり朝の日課になった。

その後、お祖母ちゃんと一緒に、朝ご飯の支度をして、皆んなで朝食をとるって、家の掃除を手伝ってから、終わると、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんとお茶をしたりしてゆっくりして、旅館の厨房の手伝いをする。

皆んなで、賄いを食べるのが楽しみになった。

その後、出汁の取り方や、だし巻き玉子や茶碗蒸しの作り方を教わったりする。

夕方は、お祖父ちゃんや旅館の従業員の人と離れの近くの川で釣りをしたり、川で遊んだり、買い物について行ったりする。

夜には、花火をしたり、スイカを食べたり、
今までしたことのない遊びを色々、させて貰った。

駄菓子屋にも連れて行って貰ったし、虫取りもした。

皆んなが気をつかってくれるのがわかって嬉しかった。

夜は、お祖母ちゃんや、旅館の従業員や櫻葉さんと、露天風呂に入って星空を眺め、その後、だいたい紫紺様から電話が来て、一日の報告をする。

嫌味を言われたり、責められたり、何かをさせたり、させなかったりするとき以外、何の関心もなく、まるで居ないかのように放置されていたのが、嘘みたいに、誰も私を責めないし、誰も無視しない。

あまりの落差に戸惑ったし、こんなに甘えてていいのかと不安になったけど、

今まで頑張り過ぎだったんだ。子どもは甘えるもんだ。それが足りなかったんだから、今は甘えていないといけない。

とお祖父ちゃんとお祖母ちゃんが真顔で言っていた。

そうなんだろうか?
戸惑う自分とそうしていたい自分がせめぎ合うのを感じながら、皆んなに甘えてそうさせて貰っていた。

今までない穏やかな日々が一種間も続いたことを不思議に思うけど、

夜ぐっすり眠れるようになったし、体調も良くなった気がする。

それに少し力が抜けてきたように思う。

明日は、紫紺様が来る。
少し不安もあるけど、会うのが楽しみというか、待ち遠しくて仕方ない。

なんだか楽しみ過ぎて眠れない。

そう言えば、子どもの頃、遠足が楽しみで眠れなかったと言っていた子がいた。

どんな気持ちか?
私にはわからなかった。

遠足は行かせて貰ったことがなかったから。

今、感じてるような気持ちなんだろうか?

こんな気持ちで眠るのも初めてかも…。

ああ、ここに来てから、初めて尽くしだと思った。