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歓迎会は、宴会みたいに賑やかだった。

今まで、そういう家族の集まりや賑やかな場に縁がなかった私には、楽しかったけど、かなり戸惑いもしてクタクタになってしまった。

紗代ちゃんと美月と早めに抜け出させて貰って、家族や従業員が入れる露天風呂に行った。

露天風呂から、空を見上げると、東京とは思えないほど、満点の星空が見えた。
溢れ落ちてきそうなほどの星の輝きに驚いた。

温まって、部屋に戻って来たら、
並べて布団がひいてあった。

今日は、美月と一緒にここで寝る。

姉妹で布団を並べて寝るのは、初めてだと思った。

美月が布団にダイブして、

『ホカホカだ。暑いくらい。でも、お日様の匂いがして気持ちいいよ。このお布団。
お姉ちゃんも早く横になりなよ。』
と言った。

布団に寝転がると、確かに、お日様の匂いがした。

『本当だ。気持ちいいね。お布団、干しておいてくれたんだね。』

『うん。皆んな温かくて優しかったね。気さくだったし…。家とは、大違いで、ちょっとショックだったけど…。
お姉ちゃんの小さい頃の話し色々、聞けたし…。来て良かった。』

『うん。そうだ…ね。私も、ショックだった…。けど、来てよかったとは思う。』

『藍蓮様たち今、何してるかな?』

『もう部屋にいるんじゃない?』

旅館の離れに、藍蓮様と紫紺様用に部屋を取ってくれたらしい。

イケメンの神獣人2人が、本館に泊まったら、他のお客様が大騒ぎするといけないからって。

それでも、この辺りの温泉街は、温泉の質が良いのと、都心から近いのとで、

神獣人がよく訪れることで有名だから、変な騒ぎにはならないから、心配することはないと言っていた。

『明日、離れ見せて貰おうね。』

『うん。旅館も邪魔じゃなかったら、見てみたい。』

『そうだね。私も見てみたい。明日、お祖母ちゃんに、頼んでみよう。』
と美月は、言った。

今日、一日で、美月は、すっかりお祖母ちゃんと打ち解けた?というより、懐いたみたいだった。

『美咲はこれから、どうなるのかな?』
と不意に美月が言った。

『…わからない。わからないけど、もう来ないんじゃないかな…。
今日の美咲を見て、なんかそう思った。』

『そう…。ならいいけど…。
今日のことを聞いたときは…、今までで、一番…、ショックだった。』

『そう…だよね。私も、そうだったから。』

『…そう聞いたら、少し安心した。
そうだよね。…ショックを受けていいよね…。もう寝るね。おやすみ。お姉ちゃん。』

そう言って美月が寝返りをうって横を向いた。

『お休み。美月。』

そう言うと、私は、この一週間を振り返っていた。

花王子に偶然、出逢って、花紋が現れたと言って、美咲がキラキラした顔をして、帰ってきたのは、たった一週間前なのだ。

それが今日、美咲は、絶望した様に、地面にしゃがみ込んでいた。

この一週間は、怒涛だった。

私は、2度も、気を失って入院したし、

美月も私も花姫だとわかったし、あんなに恐かったはずの花姫になることも、受け入れ始め…、今は、紫紺様は、私の花王子だと確かにそう思う。

両親以外に、親しい身内など居ないと思っていたのに、お父さん側のお祖父ちゃんたちにも、旅館の人たちにも、歓迎されて、紗代ちゃんと和君も居て…。

お祖父ちゃんの家で、干して貰ったホカホカの布団で美咲と並んで寝ている。

盛り沢山過ぎて整理が全く追いつかない。

それでも、不思議と心は温かい。

きっと大丈夫になる。
そんな気がし始めていた。