♢♢♢♢♢
朝食を食べるダイニングに案内されて行くと、
柘榴様も、美月たちも、もう来ていた。
『忍葉ちゃん、紹介するね。僕の母の柘榴だよ。』
『お待たせしてごめんなさい。
初めまして。紫紺様の花姫の浅井 忍葉です。
それから、泊めて頂いてありがとうございます。』
『柘榴じゃ。気にすることはない。いつでも美月に会いに来ればええでな。枝垂れ桜の花姫に会えて嬉しいえ。』
『ありがとうございます。』
『花紋が現れたそうじゃの?
皆が騒いでおった。少し見えておるな。確かに、紫紺と同じ花紋じゃのう。』
『はい。朝、現れました。』
『良かったえ。今頃、悠然も美郷も喜んでおるじゃろうな。』
誰だろう…?
『悠然と美郷は、俺の両親だ。』
『…両親…。
その時、私の鎖骨辺りを見ていた美月が
『本当‼︎花紋見えてる。綺麗だね。
後で写真を撮らせて。』
『私はいいんだけど…。』
チラッと紫紺様を見た。
『写真はだめだ。』
とやっぱり紫紺様が言った。
『えー。全部見えないじゃない。全部見たい‼︎写真撮ったら、紫紺様だって全部見えるよ。』
美月の言葉を聞いて、紫紺様がなんか悩んでるように見えた。
『ほんに。花王子は、皆、独占欲が高いで困ったことよの。』
柘榴様が今、意味深な発言をした気が…独占欲…?
『紫紺君は、皆んなには見せたくないんだよ。
場所が隠そうと思えば、隠せるじゃない。
僕も、美月ちゃんの花紋が忍葉ちゃんと同じ場所にあったら、自分だけ見られるようにしたいもん。』
もんって可愛く言ってるけど、
それって独占したいってこと?
『それにあんまり注目して欲しい場所じゃないし…ね。』
その言葉を聞いて忍葉が前のめりで、
『それはそう。襟のある服を着たいと思ったけど、服が無くて…。』
と言った。
どうにかしたくても、
もう家には帰りたくないし、帰っても、タンスを燃やされた私には服はない…。
何にも持っていない。身一つの現実が急にリアルに感じられた。
『祖父母の家に行くのに必要そうなものは、家の者に用意させて車に積んである。良さそうな服をいくつかすぐに持って来させる。』
『えっ、いつの間にそんなことを…。』
『必要だろ。今は甘えていろ。』
自分で何とかしたくても、もう一人じゃどうしようもない…今は迷惑をかけないように大人しく甘えていた方がいいんだろう…
『うん。そうさせて貰う。ありがとう。』
『それでいい。
祖父母の家では、できるだけ花紋が見えない方がいい。花姫だと周りに知られる分だけ、
静かには過ごせなくなるし、危険にもなる。
それにその場所をあんまり注目されたくない。正直、気分は良くない。』
それが、男の人の普通の感覚か?そうじゃないか?私には、よくわからなかった。
『祖父母の家では、僕もその方がいいと思うよ。視線が行きやすい場所だから、目立つからね。リスクは少ない方がいい。
花姫は、国民の宝だから、
神獣人社会じゃなくても人気だからね。
今回は、ゆっくり過ごすのが目的だし…。
その代わり写真は撮ったら?
忍葉ちゃんだって、ずっと鎖骨辺りを皆が見慣れるまで見られてたら疲れちゃうよ。
忍葉ちゃんの花紋は、神獣人なら誰だってみたいんだから。
写真を見せてあげたら皆んな納得するよ。』
『えっ?神獣人なら誰だってみたいってどういうこと?』
『花王子は、生まれた時に花紋を胸に持って生まれてくるだろう。
それから20年近く、その家の者たちは、番の花紋を持った花姫が現れるのを待つんだ。
花姫が現れたって聞いたら、花紋が見たいって思うのは、待ち望んできた者の当然の真理だと思うよ。
美月ちゃんも、僕と母の家に来た時は、大変な騒ぎだったんだ。』
『そうなの?』
『うん。使用人の人達みんな手の甲見てたよ。藍蓮様が生まれた頃から働いていた使用人たちは特に。
『花王子花姫は、花紋がなくても出会えば、わかるんだけどね、
他の人はそうじゃないから、花紋を見てやっとあー、待ち望んだ花姫だ。
ってなるみたいだよ。』
『それで、藍蓮様がみんなが落ち着くように、スマホで花紋の写真を撮って、執事に渡して、皆んなに見せるように言ってくれたの。
じっくり見れるじゃない。
じっくり見て、藍蓮様の番の花紋だって納得して、
それが私の手の甲にあるってわかって皆、落ち着いたみたい。』
『どの花姫の花紋もその家にとったら特別なんだ。だけど、忍葉ちゃんの花紋はその上にレアなんだよ。凄く。』
『レアって?』
『麒麟の当主家に花紋を胸に持った男児が生まれたのは、150年振りなんだ。
そして、俺たちは、その150年前の花王子と花姫と同じ番の花紋を持った御霊還りなんだ。』
『なんかロマンがあって、見たくなるでしょ。花王子家じゃなくても。』
『それで朝、使用人の方が、花紋が見れて自慢できるって言ってたの?』
『そういうこと。
それに、花姫は家を繁栄させるって言うけど、御霊還りは、神獣人一族や日本全体を大きく繁栄に導いたって言われているからね。
忍葉ちゃんには、皆んな会いたいんだよ。』
『……スケールが大き過ぎます。私にはそんな能力は…。』
『忍葉は、俺の側にただ、居たらいい。
花姫の役割はそれだけだ。』
『そうだよ。花姫は、ただ、居るだけで、宝なんだから。』
『じゃあ、そろそろ朝食にしようか。』
昨日、美月が、紫紺様の花姫の私は注目されると言った意味や、
朝からの色々なことの理由がやっとわかってホッとした。
朝食を食べるダイニングに案内されて行くと、
柘榴様も、美月たちも、もう来ていた。
『忍葉ちゃん、紹介するね。僕の母の柘榴だよ。』
『お待たせしてごめんなさい。
初めまして。紫紺様の花姫の浅井 忍葉です。
それから、泊めて頂いてありがとうございます。』
『柘榴じゃ。気にすることはない。いつでも美月に会いに来ればええでな。枝垂れ桜の花姫に会えて嬉しいえ。』
『ありがとうございます。』
『花紋が現れたそうじゃの?
皆が騒いでおった。少し見えておるな。確かに、紫紺と同じ花紋じゃのう。』
『はい。朝、現れました。』
『良かったえ。今頃、悠然も美郷も喜んでおるじゃろうな。』
誰だろう…?
『悠然と美郷は、俺の両親だ。』
『…両親…。
その時、私の鎖骨辺りを見ていた美月が
『本当‼︎花紋見えてる。綺麗だね。
後で写真を撮らせて。』
『私はいいんだけど…。』
チラッと紫紺様を見た。
『写真はだめだ。』
とやっぱり紫紺様が言った。
『えー。全部見えないじゃない。全部見たい‼︎写真撮ったら、紫紺様だって全部見えるよ。』
美月の言葉を聞いて、紫紺様がなんか悩んでるように見えた。
『ほんに。花王子は、皆、独占欲が高いで困ったことよの。』
柘榴様が今、意味深な発言をした気が…独占欲…?
『紫紺君は、皆んなには見せたくないんだよ。
場所が隠そうと思えば、隠せるじゃない。
僕も、美月ちゃんの花紋が忍葉ちゃんと同じ場所にあったら、自分だけ見られるようにしたいもん。』
もんって可愛く言ってるけど、
それって独占したいってこと?
『それにあんまり注目して欲しい場所じゃないし…ね。』
その言葉を聞いて忍葉が前のめりで、
『それはそう。襟のある服を着たいと思ったけど、服が無くて…。』
と言った。
どうにかしたくても、
もう家には帰りたくないし、帰っても、タンスを燃やされた私には服はない…。
何にも持っていない。身一つの現実が急にリアルに感じられた。
『祖父母の家に行くのに必要そうなものは、家の者に用意させて車に積んである。良さそうな服をいくつかすぐに持って来させる。』
『えっ、いつの間にそんなことを…。』
『必要だろ。今は甘えていろ。』
自分で何とかしたくても、もう一人じゃどうしようもない…今は迷惑をかけないように大人しく甘えていた方がいいんだろう…
『うん。そうさせて貰う。ありがとう。』
『それでいい。
祖父母の家では、できるだけ花紋が見えない方がいい。花姫だと周りに知られる分だけ、
静かには過ごせなくなるし、危険にもなる。
それにその場所をあんまり注目されたくない。正直、気分は良くない。』
それが、男の人の普通の感覚か?そうじゃないか?私には、よくわからなかった。
『祖父母の家では、僕もその方がいいと思うよ。視線が行きやすい場所だから、目立つからね。リスクは少ない方がいい。
花姫は、国民の宝だから、
神獣人社会じゃなくても人気だからね。
今回は、ゆっくり過ごすのが目的だし…。
その代わり写真は撮ったら?
忍葉ちゃんだって、ずっと鎖骨辺りを皆が見慣れるまで見られてたら疲れちゃうよ。
忍葉ちゃんの花紋は、神獣人なら誰だってみたいんだから。
写真を見せてあげたら皆んな納得するよ。』
『えっ?神獣人なら誰だってみたいってどういうこと?』
『花王子は、生まれた時に花紋を胸に持って生まれてくるだろう。
それから20年近く、その家の者たちは、番の花紋を持った花姫が現れるのを待つんだ。
花姫が現れたって聞いたら、花紋が見たいって思うのは、待ち望んできた者の当然の真理だと思うよ。
美月ちゃんも、僕と母の家に来た時は、大変な騒ぎだったんだ。』
『そうなの?』
『うん。使用人の人達みんな手の甲見てたよ。藍蓮様が生まれた頃から働いていた使用人たちは特に。
『花王子花姫は、花紋がなくても出会えば、わかるんだけどね、
他の人はそうじゃないから、花紋を見てやっとあー、待ち望んだ花姫だ。
ってなるみたいだよ。』
『それで、藍蓮様がみんなが落ち着くように、スマホで花紋の写真を撮って、執事に渡して、皆んなに見せるように言ってくれたの。
じっくり見れるじゃない。
じっくり見て、藍蓮様の番の花紋だって納得して、
それが私の手の甲にあるってわかって皆、落ち着いたみたい。』
『どの花姫の花紋もその家にとったら特別なんだ。だけど、忍葉ちゃんの花紋はその上にレアなんだよ。凄く。』
『レアって?』
『麒麟の当主家に花紋を胸に持った男児が生まれたのは、150年振りなんだ。
そして、俺たちは、その150年前の花王子と花姫と同じ番の花紋を持った御霊還りなんだ。』
『なんかロマンがあって、見たくなるでしょ。花王子家じゃなくても。』
『それで朝、使用人の方が、花紋が見れて自慢できるって言ってたの?』
『そういうこと。
それに、花姫は家を繁栄させるって言うけど、御霊還りは、神獣人一族や日本全体を大きく繁栄に導いたって言われているからね。
忍葉ちゃんには、皆んな会いたいんだよ。』
『……スケールが大き過ぎます。私にはそんな能力は…。』
『忍葉は、俺の側にただ、居たらいい。
花姫の役割はそれだけだ。』
『そうだよ。花姫は、ただ、居るだけで、宝なんだから。』
『じゃあ、そろそろ朝食にしようか。』
昨日、美月が、紫紺様の花姫の私は注目されると言った意味や、
朝からの色々なことの理由がやっとわかってホッとした。