食事中、会話の中で、今、言わなきゃずっと言えないと感じた時に、思い切って、

『私、紫紺様の花姫でいたい。』

と切り出したら、一気に場が鎮まり返った。

それでももう、引き返せないと思って、夢中になって、

『だけど、私、まだ、紫紺様の家に入るって言えないから、
お祖父ちゃんたちの家に暫く滞在して、自分のことや、家族のこと、これからのことを考えることにしました。

家に中々入らないことで、凄く迷惑を掛けることになるかもしれないけど…、いいですか?』

と言いたかったことをなんとか言い終えた。

気づいたら、感極まり過ぎて涙を溢し、体が震えていた。

水を打ったように部屋が鎮まり返っていて、受け入れて貰えなかったんだと思った。

次の瞬間、凄い力で抱き寄せられた。

『ありがとう。嬉しい。忍葉は俺の花姫だ。忍葉がしっかりそう思うまで、ゆっくり考えたらいい。誰にも邪魔をさせたりしない。』

そう言って、紫紺様は、頬にキスをした。

私が驚いている間に、

愛おしいそうな目をして、キスをした頬を撫でていることに気づいて、

恥ずかしさに一気に、頭に血が昇ってしまって、真っ赤になったまま固まってしまった。

『紫紺君、忍葉ちゃんが、大変なことになってる。離してあげて。』
と藍蓮様の声が遠くに聞こえた。

『すまない。』
と言って紫紺様が体を離してくれて、
紫紺様の目から解放された私は、その場にへたり込んだ。

花王子…刺激が強すぎる。

『お姉ちゃんって、恥ずかしがる割に大胆なことをするんだね。ビックリした。』

『大胆って私は、何も…。』

『私たちの前で告白して何を言ってるの?』

『えっ!告白…?…‼︎ ち、違う‼︎わ、私は、今、言わないと、紫紺様と2人きりじゃ、絶対言えないと思って…。』

言いながら、自分でも、妹たちの前で、告白したのも同然の言葉を言っていたんだと気づいてきて、恥ずかしさと照れ臭さで、段々、声が小さくなってしまった。

紫紺様が、ポンポンと頭を優しく叩いて、

『忍葉は、何をしても可愛いから大丈夫だ。』
と言った。

それは慰めになるんだろうか?

バカップル振りを晒しているような気がするんだけど…。

でも、花王子ってこんな感じなんだろう。
藍蓮様も周りを気にしないし…。

私が気をつけなきゃ。
と思った。

『忍葉ちゃんらしいけど…。確かに、選択が大胆だね。でも、上手く言って良かったよ。強引に引き合わせた責任があるからね。』

恥ずかしさで、プシュッと縮んでしまいそうになりながら、なんとか、
『……ありがとうございます。』
と答えた。

中々、決断できなかったけれど、お祖父ちゃんたちの家に行くと決めて、言ってしまったら、あっという間に、明日、朝から、向かうことに決まった。

その後の食事は、和やかに楽しめたけど、紫紺様の雰囲気がなんだか色っぽく?艶っぽくなった気がして、落ち着かなかった。