♢♢♢♢♢
ドッグランから戻ると、
使用人の2人方が待っていて、1人の方が、美月から、コクを引き取ると、足の洗い場があるコク専用の玄関に連れて行った。
もう一人の方が、
『美月様、お夕飯の御支度ができております。紫紺様も、藍蓮様もお待ちです。
いつもと違う場所ですので、ご案内致します。』
と、離れにある座敷に連れ来てくれた。
座敷に入るとすぐ、雪見障子から、手入れされた庭が見えた。
『忍葉ちゃん、こっち来て。』
と、藍蓮様が私を呼び寄せると障子を開け、庭を見せてくれた。
『神獣人の家ではね、花紋を胸に持った男児が生まれると、番の花紋にある花木を植える習慣があるんだ。
無事に花姫に会えるようにって。
あそこに、藤棚があるでしょ。僕が生まれた時に、家の者が植えたんだ。
美月ちゃんは藤の花姫だからね。
毎年、すっごく綺麗な花を咲かせているんだ。
(これは多分、藍蓮様の惚気なんだろうけど…、花王子の堂々とした惚気には、こちらが恥ずかしくなってタジタジしてしまう…)
美月ちゃんの姉の忍葉ちゃんにも、是非見て貰いたくて、ここに夕飯を用意してもらったんだ。
来年、藤の花が咲いたらね。親族を呼んで、花姫が見つかった祝いを兼ねて盛大に花見をするんだよ。忍葉ちゃんも、紫紺君と来てね。』
『はい。絶対、行きます。
美月の誕生を待ち侘びて、出会うことをずっと待っていた人達がいたなんて…。なんか凄いね。美月。』
『お姉ちゃんだってそうでしょ。花姫なんだから……?あっ‼︎そう言えば、すっかり忘れていたけど、お姉ちゃんって何の花姫なの?』
いつの間にか側に来ていた紫紺様が、肩を抱き寄せながら、
『枝垂れ桜だ。忍葉と俺は御霊還りだから、両親は俺が生まれた時に、桜を植えなかった。
本宅の庭に樹齢150年の枝垂れ桜があるからな。
忍葉が生まれた日、ずっと咲かなかった枝垂れ桜が咲いたんだ。』
と言った。
その姿がなぜか哀しげに見えて胸が痛んだ。
なんだろう…?何かあったのかな?
『あっ、それ僕知ってるよ。いや、神獣人なら皆んな知ってるか、桜が咲いたってどんちゃん騒ぎだったって。
紫紺君の親族は、お祭り騒ぎが好きだからね〜。来年の桜が咲いた時には、きっと凄いことになるよ。』
『えっ‼︎御霊還りって?お姉ちゃんと紫紺様が?』
『あー、そうだ。』
『桜が咲いた日が、お姉ちゃんが生まれた日ってどうしてわかったの?』
『忍葉の産声を聞いて目を覚まして、庭に走って行ったら、枝垂れ桜が咲いていた。』
『流石、御霊還りだ…。僕はそこまでは、わからなかったよ。』
『そんなこと聞いたら、枝垂れ桜見たい。お花が咲いたら呼んでね。』
『あ〜、勿論だ。来年は、必ず、幸せそうな花を咲かせる。絶対だ‼︎』
紫紺様の並々ならない決意を感じる言葉に、
幸せそうな花って何?
と聞いたらいけない気がして口にできなかった。さっき、哀しそうだったのと関係があるのかな…?
気になるけど……道忠さんなら、知ってるかも…いつか聞いて見よう。そう思った。
『さあ、そろそろ夕飯にしよう。食事を運んで来て。』
『はい。只今、お持ち致します。』
そう言って控えて座っていた着物の女性が、座敷を出て行った。
なんだか料亭に来たみたいだと思った。
ドッグランから戻ると、
使用人の2人方が待っていて、1人の方が、美月から、コクを引き取ると、足の洗い場があるコク専用の玄関に連れて行った。
もう一人の方が、
『美月様、お夕飯の御支度ができております。紫紺様も、藍蓮様もお待ちです。
いつもと違う場所ですので、ご案内致します。』
と、離れにある座敷に連れ来てくれた。
座敷に入るとすぐ、雪見障子から、手入れされた庭が見えた。
『忍葉ちゃん、こっち来て。』
と、藍蓮様が私を呼び寄せると障子を開け、庭を見せてくれた。
『神獣人の家ではね、花紋を胸に持った男児が生まれると、番の花紋にある花木を植える習慣があるんだ。
無事に花姫に会えるようにって。
あそこに、藤棚があるでしょ。僕が生まれた時に、家の者が植えたんだ。
美月ちゃんは藤の花姫だからね。
毎年、すっごく綺麗な花を咲かせているんだ。
(これは多分、藍蓮様の惚気なんだろうけど…、花王子の堂々とした惚気には、こちらが恥ずかしくなってタジタジしてしまう…)
美月ちゃんの姉の忍葉ちゃんにも、是非見て貰いたくて、ここに夕飯を用意してもらったんだ。
来年、藤の花が咲いたらね。親族を呼んで、花姫が見つかった祝いを兼ねて盛大に花見をするんだよ。忍葉ちゃんも、紫紺君と来てね。』
『はい。絶対、行きます。
美月の誕生を待ち侘びて、出会うことをずっと待っていた人達がいたなんて…。なんか凄いね。美月。』
『お姉ちゃんだってそうでしょ。花姫なんだから……?あっ‼︎そう言えば、すっかり忘れていたけど、お姉ちゃんって何の花姫なの?』
いつの間にか側に来ていた紫紺様が、肩を抱き寄せながら、
『枝垂れ桜だ。忍葉と俺は御霊還りだから、両親は俺が生まれた時に、桜を植えなかった。
本宅の庭に樹齢150年の枝垂れ桜があるからな。
忍葉が生まれた日、ずっと咲かなかった枝垂れ桜が咲いたんだ。』
と言った。
その姿がなぜか哀しげに見えて胸が痛んだ。
なんだろう…?何かあったのかな?
『あっ、それ僕知ってるよ。いや、神獣人なら皆んな知ってるか、桜が咲いたってどんちゃん騒ぎだったって。
紫紺君の親族は、お祭り騒ぎが好きだからね〜。来年の桜が咲いた時には、きっと凄いことになるよ。』
『えっ‼︎御霊還りって?お姉ちゃんと紫紺様が?』
『あー、そうだ。』
『桜が咲いた日が、お姉ちゃんが生まれた日ってどうしてわかったの?』
『忍葉の産声を聞いて目を覚まして、庭に走って行ったら、枝垂れ桜が咲いていた。』
『流石、御霊還りだ…。僕はそこまでは、わからなかったよ。』
『そんなこと聞いたら、枝垂れ桜見たい。お花が咲いたら呼んでね。』
『あ〜、勿論だ。来年は、必ず、幸せそうな花を咲かせる。絶対だ‼︎』
紫紺様の並々ならない決意を感じる言葉に、
幸せそうな花って何?
と聞いたらいけない気がして口にできなかった。さっき、哀しそうだったのと関係があるのかな…?
気になるけど……道忠さんなら、知ってるかも…いつか聞いて見よう。そう思った。
『さあ、そろそろ夕飯にしよう。食事を運んで来て。』
『はい。只今、お持ち致します。』
そう言って控えて座っていた着物の女性が、座敷を出て行った。
なんだか料亭に来たみたいだと思った。