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白虎の当主 琥珀が言った通り、忍葉の話を聞き終えた警官2人が、千虎家の翔の元へ、
事実を話しに来た。

話を聞き終えた翔は、何もかも、嘘だったという事実を突きつけられ、驚愕と混乱に陥っていた。

昨日、見せられた浅井家の調査報告書を読んで、美咲は姉を明らかに虐げていたとしか言えないと思った時も、信じられなかったし、ショックだった。

それは、美咲が言っていたこととは、全く違ったからだ。

最初から、嘘をつかれていたというか、
嘘をついている自覚すら、美咲には無いように思えた。

美咲は一体、どうなっているのか?

得体の知れなさに恐さを感じた。
自分の花姫なのに‼︎

今日の報告は……、

美咲の悲鳴も、
美咲がお揃いの服を姉にプレゼントしたことも、
それを姉の忍葉が、破いたことも、
「忍葉が、今まで、酷いことしてきたくせに、花姫になるのが許せない。」
と美咲に掴みかかきたことも、
あの涙も‼︎全て嘘だった。

頑張って作ったのだと言っていたスープも、グラタンも、作ったのは、忍葉で、

姉に意地悪をされてしたと言っていた怪我も、自分でしたものだった。

その事実だけでも、ショックだった。

それよりも…
姉とお揃いの服をプレゼントして、これからは、行いを改めると約束して、俺と家族で食事をする時にはそれを2人で着ようと思う。

と話していたことも、
忍葉が、受け取って許してくれたから、
食事の時は、お姉ちゃんとお揃いの服を着るから楽しみにしていてと言っていたのも、嘘だった…。

最初から忍葉を貶めるために俺に嘘を話していた、そのことが一番、衝撃だった。

花王子と花姫の繋がりは深い、一度出会ってしまったら離れることは苦痛のはずだ。

美咲は俺の花姫だ。

それなのに美咲は違うのか?

美咲はどうして俺を失うことまでして、忍葉にそれほど固執するんだ?

わからない…理解できない…。

着信を知らせる音が鳴っていることに気づいた。

スマホを手にとる。
美咲からだ…。何を考えているんだろう…美咲は…。

翔は、電源を落とすとスマホを放り投げた。

部屋をノックする音が響いて、志乃の声が聞こえた。

『翔様、お父様とお母様がお呼びです。』

『わかった。すぐ行く。』