♢♢♢♢♢

暫くすると、道忠さんが来て、今後の話し合いが始まった。

『忍葉は、今後、両親と美咲とどうしていきたい?』

『もう会いたくない、関わりなくない。』

『なら法的にきちんとしないか?』

『えっ?どういうこと?』

『今のままだと、向こうは忍葉の意志を無視してくるだろう?

妹が忍葉を逆恨みして何かをしてこないとは、限らないし、母親も忍葉を自由にはさせておかないんじゃないか?』

大袈裟って言おうとして止まってしまった。

いくらなんでも、こんなことになって、また何かをしてきたりしないと思うけど、

何もしようがないと思っている中で、
美咲は予想外のことをした。

次、しないとは言えない…と思ったら何も言えなかった。

『法的に対処しておけば、忍葉に何かをしようとすることへの抑止になるし、
そこで止まらなければ、次の対処ができる。』

『法的に対処って?』

まず、法とは関係ないが、
忍葉が俺の花姫だと浅井家の両親と美咲に明らかにしたい。

神獣人一族のトップである黄竜門家の花姫だということはそれだけで、何かをしようとする抑止になることだからな。
いいか?』

『…私が紫紺様の花姫だということは、もう黙っていられない所にきているんだと思う。だからいい。
いいって、何の対処もできない私が言うのも変かもしれないけど…。』

『何も変じゃない。忍葉自身のことだ、忍葉がどうしたいか口にするのは当然だ。』

ハッとして紫紺様を見た。

紫紺様は私に当たり前に無かったものを、
当たり前だと言って与えてくれる…。

それと、忍葉の安全のために、両親と妹、美咲の3人に、忍葉への接近禁止令をとりたい。

これは急いで対応したいが、嫌か?』

『紫紺様がどうして接近禁止令をとる。
って言うか?は、頭ではわかる。

わかるんだけど…、美月だってそうした方がいいって言うと思うし…、

バカなことを言うのかもしれない…けど、

いくらなんでも、もう私に何かをしてこようなんて思わないんじゃないか…って、

だから、そこまでもうする必要はないんじゃないかってどうしてもそう思える…。

でもどうしても嫌ってわけじゃないから、紫紺様がそうしたいならいい。

『それは駄目だ‼︎意味がない。
俺は忍葉が望んでいないことをする気はない。
やっと会えた花姫を俺は、失いたくない。』

ハッとした。
紫紺様の言う通りだと思った。

凄く嫌なわけじゃない。でも、本当は望んでいないことを相手に合わせてやることを繰り返していけば、何処かで、きっと無理になる…、そうなる未来がいつか来る。

ちゃんと自分の意思で決めなきゃだめんだと思った。

『考える…から、だから…接近禁止令は…、少し待って。』

『ああ、わかった。待つよ。』

『それじゃ道忠、花姫会に忍葉が俺の花姫だと伝えるように言ってくれ。』

『わかりました。』

そう言うと道忠さんは、足早に病室を出て行った。