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朝、目が覚めると、そこにはもう櫻葉さんが来ていた。

『お目覚めですか? 早かったですね。』

私が早いなら櫻葉さんはもっと早いじゃないかと思いつつ、
枕元の時計を見ると、6時を少し過ぎた所だった。

『こちら昨日、浅井家に行った者から、預かりました忍葉様のスマホです。

それから朝、紫紺様の使いの方から、何着かお召し物を預かりましたので、サニタリールームに掛けておきました。

7時には、朝食が来るそうですので、御支度下さい。』
と声を掛けられた。

朝から頭が真っ白になった。

服を用意した‼︎
昨日夜から今日の朝の間に?

どうやってって考えるのは、きっと愚問なんだろうな…、

ただの女子高生にはわかるわけないもの…

とにかくサニタリールームに行かなきゃと思って中に入ると、
本当に、何着もの服が掛けてあった。

私、てっきり今日は、帰れ…

アレ?私何処に帰るの?

ひょっとして寮に入れるまで、ここに入院するとか…、嫌、そんな政治家みたいなことは、無いよね…、

ああ、色々、わからない誰に聞いたらいいんだろう?

とにかく、着替えて用意をしよう。

と服を選び始めたけど、もうよくわからなくて、パッと最初に目についたものに決めた。

こんな私に、いいお洋服なんて勿体無さ過ぎるな…となんか自分にがっかりしてきた…。

藍蓮様が昨日、リハビリがいるって言ってたけど、本当だ。

しかも慣れそうにないし…、はぁ〜、朝からこんな調子でもつかな私…。不安だ。

そんなことを思いつつ、身支度を終えて、病室に戻ろうとドアを開けると、

『髪を整えましよう。』
と櫻葉さんが入ってきた。

この流れは身に覚えがある…。
また、後に何か控えてる気がする…。

そう思って、櫻葉さんに言われるまま、鏡の前に座り、されるがまま身を任せた。

『出来ましたよ。』

と言われて完成した髪型を見ると、斜めに緩く編み込みして、そのまま斜めに三つ編みを垂らしたものだった。
お化粧もされなかったし、病室で過ごすように纏めてくれただけじゃないかな?と思ってホッとした。