♢♢♢♢♢
病室を出て暫く黙って廊下を歩いていた神蛇先生が口を開いた。
『櫻葉、忍葉君の警察の聴取は、明日の朝にするよ。今日の忍葉君の家族の件は、かなりの心労だったろうし、過去の記憶を色々思い出したみたいだからね。
待たせている警察官には、僕の方から、明日の朝、出直すように言って置くから、
花姫会に、そう伝えて置いて。』
『はい。了解しました。』
『櫻葉、忍葉様の食事の用意を頼む。』
『はい。紫紺様の分はどう致しましょう?』
『必要ない。きっと席を外すだろうから。
その間は、櫻葉が、忍葉様についていて。』
『はい。承知しました。』
『じゃ、私、神蛇先生と、話がありますので。』
そう言うと神蛇先生と道忠は、連れ立って歩いて行った。
♢♢♢♢♢
神蛇は、自分の部屋に入ると、道忠を応接用のソファに座らせ、
自分のデスクに座り、忍葉の検査結果に目を通し、徐に、電話を掛けた。
『玄白かい。黄竜門家の花姫は、目を覚ましたよ。報告した以外の怪我は無かったよ。
だけど、忍葉君の心の負担が大きいから、警察の聴取は明日の朝することにしたよ。
忍葉君から、簡単に事情は聞いたから、報告するよ。』
『はい。お願いします。神蛇様。』
忍葉から聞いた浅井宅で騒動の話しを一通り話し終わると、病院に来てからの報告を始めた。
『この騒動で、忍葉君の花姫になる心理的な抵抗に変化があったよ。
紫紺君と一緒に居ても大丈夫そうだ。
というより望んでいるように見えたね。
あの分じゃ、数日中に、花紋が現れるかも知れないよ。』
『えっ‼︎そうですか…。』
『ああ、琥珀様に伝えておいて。』
と言うと、神蛇は、電話を切り、
道忠の向かいのソファに座った。
『白虎の当主も動いているんですね。』
『ああ。一族の者を、麒麟の若と争わせるわけにはいかないからな。
それにしても、翔坊ちゃんの花姫は、馬鹿なことをやらかしてくれたよ。
今日は、僕、寝させて貰えそうにないね。』
そう言ってはぁ〜。と大きな溜息を吐いた。
ノックの音がして、
『櫻葉です。少し宜しいですか。』
と声がした。
『いいよ。入って。』
『失礼します。三枝夫妻が、忍葉さんの先程の様子を見て、心配になった様で、
神蛇先生とお話ししたいそうですが、どう致しましょう?』
『ああ、そうだよね。道忠君も居るし、丁度いいね。夫妻を中に通して。』
『承知しました。
忍葉様の食事の用意が出来ましたので、私は、忍葉様についていますね。』
『ああ、何かあったら、呼んで。』
『はい。』
部屋を出ると、待っていた三枝夫妻に、
『中へお入り下さい。』
とドアを開けて夫妻を通し、櫻葉は、忍葉の病室へと足早に戻って行った。
♢♢♢♢♢
三枝夫妻を、ソファに掛けるよう促すと、
『先程は、挨拶しませんでしたね。
紫紺君から聞いていると思うけど、医師の神蛇です。
確か、道忠君は、三枝夫妻と今日、初めて会うんだよね。』
『ええ。私は、紫紺の秘書の道忠です。紫紺様の代わりに先生の話を伺いに来たので、ご一緒させて頂きますが、宜しいですか?』
『いえ。そんなこちらこそ、お邪魔して良かったでしょうか?』
『ええ。ご一緒に聞いて貰った方が、今後の相談もできますので、是非。』
『それなら良かったわ。』
緊張した面持ちだったご夫妻は、道忠の言葉に、ホッとしたのか、表情を緩ませた。
三枝夫妻と道忠に、先程の忍葉の様子を見ての医師の所感を話し、
その後、今後の相談を始めると、忍葉の病室から出てきた紫紺も話に加わった。
病室を出て暫く黙って廊下を歩いていた神蛇先生が口を開いた。
『櫻葉、忍葉君の警察の聴取は、明日の朝にするよ。今日の忍葉君の家族の件は、かなりの心労だったろうし、過去の記憶を色々思い出したみたいだからね。
待たせている警察官には、僕の方から、明日の朝、出直すように言って置くから、
花姫会に、そう伝えて置いて。』
『はい。了解しました。』
『櫻葉、忍葉様の食事の用意を頼む。』
『はい。紫紺様の分はどう致しましょう?』
『必要ない。きっと席を外すだろうから。
その間は、櫻葉が、忍葉様についていて。』
『はい。承知しました。』
『じゃ、私、神蛇先生と、話がありますので。』
そう言うと神蛇先生と道忠は、連れ立って歩いて行った。
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神蛇は、自分の部屋に入ると、道忠を応接用のソファに座らせ、
自分のデスクに座り、忍葉の検査結果に目を通し、徐に、電話を掛けた。
『玄白かい。黄竜門家の花姫は、目を覚ましたよ。報告した以外の怪我は無かったよ。
だけど、忍葉君の心の負担が大きいから、警察の聴取は明日の朝することにしたよ。
忍葉君から、簡単に事情は聞いたから、報告するよ。』
『はい。お願いします。神蛇様。』
忍葉から聞いた浅井宅で騒動の話しを一通り話し終わると、病院に来てからの報告を始めた。
『この騒動で、忍葉君の花姫になる心理的な抵抗に変化があったよ。
紫紺君と一緒に居ても大丈夫そうだ。
というより望んでいるように見えたね。
あの分じゃ、数日中に、花紋が現れるかも知れないよ。』
『えっ‼︎そうですか…。』
『ああ、琥珀様に伝えておいて。』
と言うと、神蛇は、電話を切り、
道忠の向かいのソファに座った。
『白虎の当主も動いているんですね。』
『ああ。一族の者を、麒麟の若と争わせるわけにはいかないからな。
それにしても、翔坊ちゃんの花姫は、馬鹿なことをやらかしてくれたよ。
今日は、僕、寝させて貰えそうにないね。』
そう言ってはぁ〜。と大きな溜息を吐いた。
ノックの音がして、
『櫻葉です。少し宜しいですか。』
と声がした。
『いいよ。入って。』
『失礼します。三枝夫妻が、忍葉さんの先程の様子を見て、心配になった様で、
神蛇先生とお話ししたいそうですが、どう致しましょう?』
『ああ、そうだよね。道忠君も居るし、丁度いいね。夫妻を中に通して。』
『承知しました。
忍葉様の食事の用意が出来ましたので、私は、忍葉様についていますね。』
『ああ、何かあったら、呼んで。』
『はい。』
部屋を出ると、待っていた三枝夫妻に、
『中へお入り下さい。』
とドアを開けて夫妻を通し、櫻葉は、忍葉の病室へと足早に戻って行った。
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三枝夫妻を、ソファに掛けるよう促すと、
『先程は、挨拶しませんでしたね。
紫紺君から聞いていると思うけど、医師の神蛇です。
確か、道忠君は、三枝夫妻と今日、初めて会うんだよね。』
『ええ。私は、紫紺の秘書の道忠です。紫紺様の代わりに先生の話を伺いに来たので、ご一緒させて頂きますが、宜しいですか?』
『いえ。そんなこちらこそ、お邪魔して良かったでしょうか?』
『ええ。ご一緒に聞いて貰った方が、今後の相談もできますので、是非。』
『それなら良かったわ。』
緊張した面持ちだったご夫妻は、道忠の言葉に、ホッとしたのか、表情を緩ませた。
三枝夫妻と道忠に、先程の忍葉の様子を見ての医師の所感を話し、
その後、今後の相談を始めると、忍葉の病室から出てきた紫紺も話に加わった。