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藍蓮は、神蛇先生たちが出て行くのを見送ると、スマホを取り出し、電話を掛ける。

『母さん、 忍葉ちゃんは、まだ目は覚さないみたいだけど、火傷の手当ては、紫紺君がしたみたいだし、検査も済んで病室に移ったよ。』

『そうかえ。大事がないようで良かったえ。
浅井家におった翔は、白虎の当主に呼ばれたえ。』

『琥珀様に?どうして?』

『桜の花姫が桜坂病院に搬送されたことを知った悠然が、琥珀に、何か言ったようじゃな。』

『え?悠然って、紫紺君の父上は、忍葉ちゃんが、紫紺君の花姫って知ってたの?』

『ああ、花姫がみつかったら、知らせてくれと、随分昔に頼まれとったでの。

千虎家の花姫の一報を受け、姉の忍葉の存在を知った時に、悠然の若の花姫だとわかったでの。知らせておいた。』

『はあ〜。驚いたな…。それ紫紺君知らないよね。』

『悠然のことだから、若には、言っておらんじゃろうな。』

『そう。他に何かある?』

『ないぞ。』

『わかった。ありがとう。母さん。』

そう言って電話を切ると、藍蓮は、また、電話を掛け始めた。

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『あっ、千景、今、何処?』

『浅井家に向かう途中です。』

『そう。忍葉ちゃんは、病院について、火傷の治療はしたし、検査も終わった。ただ、まだ眠ったままだよ。』

『そうですか…。心配ですね。』

『忍葉ちゃんのスマホ多分、浅井家にあるから持って来てくれる?』

『かしこまりました。』

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忍葉ちゃんが目覚めないことには、何があったかはわからないな。

それに、狛犬は、忍葉ちゃんや紫紺君との関係だけは答えなかった。

随分前から、忍葉ちゃんが花姫なのも、花王子が誰かも、知ってる様子だったから、
忍葉ちゃん小さい頃の知り合いってだけじゃ無さそうなんだけどな…。


あっ、そういえば、騒ぎのせいで忘れていた。

忍葉ちゃんが目を覚ました時、紫紺君が側に居て大丈夫だろうか?

だけど、今、離れろと言うのは酷だよなぁ。

でも、目を覚ました忍葉ちゃんを、怯えさせるわけにもいかいよな…

早く花姫になることへの抵抗をなんとかしないと。これじゃあ、2人が可哀想だ。

美月ちゃんも、こないだ忍葉ちゃんが気を失ってかなりショックを受けたばかりだ。

早く側に戻らないと…そう思いながら、藍蓮は、忍葉の病室に急いだ。