♢♢♢♢♢
花姫会のフロアにつくと、千景さんに、迎えられた。
皆が席に座るのを見届けると、千景さんは、早速、話を切り出した。
『朝、美咲様が千虎家に入って花姫の教育を受けると決めたと、美咲様のお母様から連絡があり、千虎家に伝え了承を得ました。』
良かったと思っていたら、
『それでですね。美咲様が、翔様を家に招く約束をしていたそうで、
色々、翔様にはして頂いたから、料理を振る舞ってお礼がしたいというお話だったそうですが…。忍葉様が、病院にいらした時に、待っている間に翔様とそんな話しをしていたそうですが…。忍葉様と美月様はご存知でしたか?』
『私は知らない。そんな話し聞いてないし、料理を振る舞うって美咲、料理なんかしないじゃない。』
『私も、知らない。病院から帰ってから、美咲とは、殆ど話していないから…。』
『そうでしたか。美咲様が、千虎家に入る前に、
約束通り翔様を招いて、家族で最後に食事をしたい。
忍葉様には、今まで失礼な態度を取っていたから、態度を改めたことを、翔様に見て貰って安心して貰いたいからとお願いされまして、千虎家は、了承されましたが、
忍葉様と美月様は、どうされますか?』
『身勝手な話しだな…。花姫会は、承知したの?』
『千虎家が了承しているものを、花姫会側がとやかく言うわけには参りませんから…ね。
お二人には、花姫会からお話しした方がいいかと思い、その話は花姫会から、忍葉様と美月様にお伝えし、2人の返事を連絡しますので、
美咲様が直接、お二人に尋ねる事がないよう美咲様には伝えましたが…。』
千景さんの話を聞いて、別々に住むようになれば、美咲は、美月にも私にも直接、連絡してくるようなことはもうできなくなるのだろうと思った。
『2人とも、どうする?』
『私はいい。今、家族で誰かを迎えてご飯を食べる気分にはなれない。
それも翔様を招くって…、美咲は、やっぱり自分のことばっかり…なんかガッカリした。』
『私は、参加する。美咲がそれで気が済むなら。それでいいから。』
『えっ?お姉ちゃんは、人がちょっと良すぎるよ。』
『そうかなぁ。今までの美咲を思うと、少しぐらい身勝手なのは仕方ないんじゃないかな、それより変わろうとして何かをする方が大事な気がする。
結局、寮の手続きが済むまでの間、スルスルとお母さんやお父さんと話すことなく進んで来ちゃた。話したところで、わかって貰えるとは思えないし、聞いてすらくれないと思うと何をどう言っていいかすらわからなかったし、今も特に話したいとは思わないけど…、
何か不消化な思いがあって、上手く言えないけど、ずっと何か引きづりそうな気がしてたから…
家族で、翔様を招いて食事をするみたいな形式をした方が、自分の中で、一区切りつく気がする…自分の役割は果たしたと思えるみたいな…。』
『忍葉様は、今日も、家に帰る予定で、明日、参加されるということで宜しいですか?』
と千景さんが念を押すように確認した。
『お姉ちゃん、もし何かあったらどうするの?』
と美月が心配して言ったけれど、
『何かって何があるの?美咲に何かできたりしないと思うけど…。』
と言うと美月も黙った。
千虎家からあんな申し入れがあったのだから、何かすれば、悪くなるのは美咲の立場だ。美咲だってそんな馬鹿なことをしたりしないと思う。嫌な言い方だけど、あの子は私よりそういうことには要領がいいと思うから。
私の話に耳を傾けていた藍蓮様が、
『千景、美咲ちゃんは、いつ千虎家に入るの?』
と訊いた。
『明後日の朝と伺っています。』
『そうじゃあ、忍葉ちゃん。
忍葉ちゃんが、明日、翔君を招いて家族と食事をすることに区切りを感じているのなら、それが済んでから、寮に入るまでの数日、美月ちゃんの居る僕の母の家に来ないかい?』
と聞いた。
明後日には、お母さんとお父さんと3人になるのか…もう話したいとも一緒に居たいとも思わないし…、
ここまで先が決まったら、寮に入る前に、美月の暮らしを見に行ってもいいかもしれない。
美月も藍蓮様が居ない時に話したいと言っていたから、泊まれば、2人で話す機会もあるだろうし…、
長い間、考えてから
『うん。2人や柘榴様が迷惑じゃなければ…。』
と言うと、
藍蓮様がガッツポーズをとり、美月も藍蓮様を見てヤッターとはしゃいでいた。
二人とも、ホッとしたような嬉しそうな顔をしてした。
『良かった〜。明後日が楽しみ。コクの散歩、コクって柘榴様が飼っている犬ね、
コクの散歩に一緒に行こう。
すぐ近くに、ドッグランがあってね、緑が一杯あって、気持ちが良い所なの…』
とこれからの話を美月がするのを聞きながら、なんかずっとバタバタしていたのに、ドックランに行く暇が良くあったな…
美月の喜ぶことなら、豆にせっせとしそうな藍蓮様ならちょっと時間が空いたら、連れて行きそうだなとか、どうでもいいことを思ってた。
そんな会話をしているうちに、私も新しい生活に心が向いてきて、美咲や家族と明日、夕飯を食べることが、そこに向けた最後のミッションみたいな気持ちになっていた。
千景さんが帰りの車を用意してくれ、帰途についたけど、何故か、龍咲さんも同乗してくれた。
花王子が誰かわかったせいで、花姫会の私への扱いの手厚さが増したように感じて落ち着かない気持ちがしたけど、もうここは諦めることにした。
断ろうとすれば、龍咲さんや花姫会の方を困らせるだけなのは、昨日の道忠さんとの話から簡単に想像がついたから。
黄竜門家は私には、重過ぎる…と思いながらそこには触れないことにした。
花姫会のフロアにつくと、千景さんに、迎えられた。
皆が席に座るのを見届けると、千景さんは、早速、話を切り出した。
『朝、美咲様が千虎家に入って花姫の教育を受けると決めたと、美咲様のお母様から連絡があり、千虎家に伝え了承を得ました。』
良かったと思っていたら、
『それでですね。美咲様が、翔様を家に招く約束をしていたそうで、
色々、翔様にはして頂いたから、料理を振る舞ってお礼がしたいというお話だったそうですが…。忍葉様が、病院にいらした時に、待っている間に翔様とそんな話しをしていたそうですが…。忍葉様と美月様はご存知でしたか?』
『私は知らない。そんな話し聞いてないし、料理を振る舞うって美咲、料理なんかしないじゃない。』
『私も、知らない。病院から帰ってから、美咲とは、殆ど話していないから…。』
『そうでしたか。美咲様が、千虎家に入る前に、
約束通り翔様を招いて、家族で最後に食事をしたい。
忍葉様には、今まで失礼な態度を取っていたから、態度を改めたことを、翔様に見て貰って安心して貰いたいからとお願いされまして、千虎家は、了承されましたが、
忍葉様と美月様は、どうされますか?』
『身勝手な話しだな…。花姫会は、承知したの?』
『千虎家が了承しているものを、花姫会側がとやかく言うわけには参りませんから…ね。
お二人には、花姫会からお話しした方がいいかと思い、その話は花姫会から、忍葉様と美月様にお伝えし、2人の返事を連絡しますので、
美咲様が直接、お二人に尋ねる事がないよう美咲様には伝えましたが…。』
千景さんの話を聞いて、別々に住むようになれば、美咲は、美月にも私にも直接、連絡してくるようなことはもうできなくなるのだろうと思った。
『2人とも、どうする?』
『私はいい。今、家族で誰かを迎えてご飯を食べる気分にはなれない。
それも翔様を招くって…、美咲は、やっぱり自分のことばっかり…なんかガッカリした。』
『私は、参加する。美咲がそれで気が済むなら。それでいいから。』
『えっ?お姉ちゃんは、人がちょっと良すぎるよ。』
『そうかなぁ。今までの美咲を思うと、少しぐらい身勝手なのは仕方ないんじゃないかな、それより変わろうとして何かをする方が大事な気がする。
結局、寮の手続きが済むまでの間、スルスルとお母さんやお父さんと話すことなく進んで来ちゃた。話したところで、わかって貰えるとは思えないし、聞いてすらくれないと思うと何をどう言っていいかすらわからなかったし、今も特に話したいとは思わないけど…、
何か不消化な思いがあって、上手く言えないけど、ずっと何か引きづりそうな気がしてたから…
家族で、翔様を招いて食事をするみたいな形式をした方が、自分の中で、一区切りつく気がする…自分の役割は果たしたと思えるみたいな…。』
『忍葉様は、今日も、家に帰る予定で、明日、参加されるということで宜しいですか?』
と千景さんが念を押すように確認した。
『お姉ちゃん、もし何かあったらどうするの?』
と美月が心配して言ったけれど、
『何かって何があるの?美咲に何かできたりしないと思うけど…。』
と言うと美月も黙った。
千虎家からあんな申し入れがあったのだから、何かすれば、悪くなるのは美咲の立場だ。美咲だってそんな馬鹿なことをしたりしないと思う。嫌な言い方だけど、あの子は私よりそういうことには要領がいいと思うから。
私の話に耳を傾けていた藍蓮様が、
『千景、美咲ちゃんは、いつ千虎家に入るの?』
と訊いた。
『明後日の朝と伺っています。』
『そうじゃあ、忍葉ちゃん。
忍葉ちゃんが、明日、翔君を招いて家族と食事をすることに区切りを感じているのなら、それが済んでから、寮に入るまでの数日、美月ちゃんの居る僕の母の家に来ないかい?』
と聞いた。
明後日には、お母さんとお父さんと3人になるのか…もう話したいとも一緒に居たいとも思わないし…、
ここまで先が決まったら、寮に入る前に、美月の暮らしを見に行ってもいいかもしれない。
美月も藍蓮様が居ない時に話したいと言っていたから、泊まれば、2人で話す機会もあるだろうし…、
長い間、考えてから
『うん。2人や柘榴様が迷惑じゃなければ…。』
と言うと、
藍蓮様がガッツポーズをとり、美月も藍蓮様を見てヤッターとはしゃいでいた。
二人とも、ホッとしたような嬉しそうな顔をしてした。
『良かった〜。明後日が楽しみ。コクの散歩、コクって柘榴様が飼っている犬ね、
コクの散歩に一緒に行こう。
すぐ近くに、ドッグランがあってね、緑が一杯あって、気持ちが良い所なの…』
とこれからの話を美月がするのを聞きながら、なんかずっとバタバタしていたのに、ドックランに行く暇が良くあったな…
美月の喜ぶことなら、豆にせっせとしそうな藍蓮様ならちょっと時間が空いたら、連れて行きそうだなとか、どうでもいいことを思ってた。
そんな会話をしているうちに、私も新しい生活に心が向いてきて、美咲や家族と明日、夕飯を食べることが、そこに向けた最後のミッションみたいな気持ちになっていた。
千景さんが帰りの車を用意してくれ、帰途についたけど、何故か、龍咲さんも同乗してくれた。
花王子が誰かわかったせいで、花姫会の私への扱いの手厚さが増したように感じて落ち着かない気持ちがしたけど、もうここは諦めることにした。
断ろうとすれば、龍咲さんや花姫会の方を困らせるだけなのは、昨日の道忠さんとの話から簡単に想像がついたから。
黄竜門家は私には、重過ぎる…と思いながらそこには触れないことにした。