♢♢♢♢♢
浅井家を出た道忠は、車の後部座席に乗り込むと、運転手に行き先を告げ、電話を掛けた。
『神蛇先生や紫紺様が仰った通り、忍葉様の花姫になる抵抗はかなり強かったですね。
それに、虐げられる環境が当たり前だったからでしょうが、ご自身の家庭環境への疑問すら薄く、危険だと言っても、八つ当たりされるくらいだからと家に帰ると仰られました。』
『それで、忍葉は、家に帰ったのか?』
『はい。忍葉様には、家に帰って頂きました。』
『そうか。』
『昨晩、ご一緒に、神蛇先生の話を聞いて置いて良かったです。
先生の仰る通りでしたね。
特に、いくつか言われたポイントは、本当に、大事でしたね。お陰で今日は、スムーズにいきました。
忍葉様は、虐げられる環境のせいか視野が狭いところがございましたし、不安定な危うさはありましたが、聡明な方でしたね。
こちらの立場の理解はすぐにされましたし、
自分への配慮をされる以上、迷惑は掛けないようにすると痛々しいくらい健気でしたね。
花姫会に混じって話を聞きましたが、妹の方は、自分本位で、他者の視点に欠けるお子ちゃまでしたね。
あれでは、何かやらかして千虎家の配慮も無駄にしかねないですね。
寮以外の住居の選択の余地もありそうに無かったので、
紫紺様が仰った通り、他の選択肢の話はせず、寮に住む話しを進め、
予定通り転入、入寮の書類は、先程、父親に記入して頂き、忍葉様にはスマホも持って頂きました。』
『あまり家に居ないようにそれとなく配慮してやってくれ。』
『ええ。妹の反応を見る限り、明日、忍葉様が家にいる時間は減らした方が安全ですからね。
学校や寮の見学をすることにしました。』
『そうか。』
『紫紺様の方は、どうでしたか?』
『ああ、いい方たちだったな。協力は頼めたよ。明日、もう一軒訪ねるよ。仕事の方は大丈夫か?』
『ええ。部下も育ってますから。数日くらい心配には及びませんよ。』
『そうか。すまないが、そっちは頼むよ。』
『いえ。それでは、また連絡します。』
♢♢♢♢♢
やっと巡り会えた花姫に、会えないとは、紫紺様も辛いだろう。
早く会えるようにしてあげたいが…。
今日は、計画通りに事が運んだけど、
まあ、大まかな計画は、これでいいけど、
こういうのは、こちらの思うようにはいかないものだからね。
思いがけないことが起きて、サクッと解決する時もあれば、
思いがけないことが起きて、重傷を負うような酷い結果になることもある。
と言ってたからな。
この先何が起きるかわからない。
それに、神蛇先生の話は理解はできるが、
忍葉君の選択に例え、少々、危険を感じても忍葉君の意思は尊重すること、
それからむやみやたらに危険を排除しないこと、心理的抵抗を解決するなんて、
それ自体が危険を孕むことなんだ。
多少の危険は、避けては通れないよ。
というのは、難しい…、
相手は紫紺様の花姫だからな…。
だから、神蛇先生も、そこを強く言ったのだろうが…。
できる限り、安全で速やかな解決に至りたいものだ。
浅井家を出た道忠は、車の後部座席に乗り込むと、運転手に行き先を告げ、電話を掛けた。
『神蛇先生や紫紺様が仰った通り、忍葉様の花姫になる抵抗はかなり強かったですね。
それに、虐げられる環境が当たり前だったからでしょうが、ご自身の家庭環境への疑問すら薄く、危険だと言っても、八つ当たりされるくらいだからと家に帰ると仰られました。』
『それで、忍葉は、家に帰ったのか?』
『はい。忍葉様には、家に帰って頂きました。』
『そうか。』
『昨晩、ご一緒に、神蛇先生の話を聞いて置いて良かったです。
先生の仰る通りでしたね。
特に、いくつか言われたポイントは、本当に、大事でしたね。お陰で今日は、スムーズにいきました。
忍葉様は、虐げられる環境のせいか視野が狭いところがございましたし、不安定な危うさはありましたが、聡明な方でしたね。
こちらの立場の理解はすぐにされましたし、
自分への配慮をされる以上、迷惑は掛けないようにすると痛々しいくらい健気でしたね。
花姫会に混じって話を聞きましたが、妹の方は、自分本位で、他者の視点に欠けるお子ちゃまでしたね。
あれでは、何かやらかして千虎家の配慮も無駄にしかねないですね。
寮以外の住居の選択の余地もありそうに無かったので、
紫紺様が仰った通り、他の選択肢の話はせず、寮に住む話しを進め、
予定通り転入、入寮の書類は、先程、父親に記入して頂き、忍葉様にはスマホも持って頂きました。』
『あまり家に居ないようにそれとなく配慮してやってくれ。』
『ええ。妹の反応を見る限り、明日、忍葉様が家にいる時間は減らした方が安全ですからね。
学校や寮の見学をすることにしました。』
『そうか。』
『紫紺様の方は、どうでしたか?』
『ああ、いい方たちだったな。協力は頼めたよ。明日、もう一軒訪ねるよ。仕事の方は大丈夫か?』
『ええ。部下も育ってますから。数日くらい心配には及びませんよ。』
『そうか。すまないが、そっちは頼むよ。』
『いえ。それでは、また連絡します。』
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やっと巡り会えた花姫に、会えないとは、紫紺様も辛いだろう。
早く会えるようにしてあげたいが…。
今日は、計画通りに事が運んだけど、
まあ、大まかな計画は、これでいいけど、
こういうのは、こちらの思うようにはいかないものだからね。
思いがけないことが起きて、サクッと解決する時もあれば、
思いがけないことが起きて、重傷を負うような酷い結果になることもある。
と言ってたからな。
この先何が起きるかわからない。
それに、神蛇先生の話は理解はできるが、
忍葉君の選択に例え、少々、危険を感じても忍葉君の意思は尊重すること、
それからむやみやたらに危険を排除しないこと、心理的抵抗を解決するなんて、
それ自体が危険を孕むことなんだ。
多少の危険は、避けては通れないよ。
というのは、難しい…、
相手は紫紺様の花姫だからな…。
だから、神蛇先生も、そこを強く言ったのだろうが…。
できる限り、安全で速やかな解決に至りたいものだ。