♢♢♢♢♢
車に乗ると美月は、
『お姉ちゃん、道忠さんに、ピシッと色々、言われてたね。』
と言った。
『……うん。道忠さんの言うことは、的を得てて何も言い返せなかった…。』
『ふふふっ。お姉ちゃんが、道忠さんに、やり込められてるのを見て、正直、ちょっと嬉しかった。』
『えっ?そうなの?』
『うん。そうだよ。だって、お姉ちゃん自分一人で何もかも背負おうとして、私や藍蓮様が、力になりたいと言っても、頑なに、受け入れなかったじゃない。
お姉ちゃんの気持ちはなんとなくわかっても、やっぱり何も出来ないのは悔しかったし、お姉ちゃんに対しても、この頭でっかち‼︎って腹が立つ気持ちがあったから…。
道忠さんのお姉ちゃんへのきっぱりした態度は、気持ち良かったよね。
言いたいことを代わりに言って貰ってスカッとしたというか…。』
そんなに不満をためさせていたのか…と凹みながら美月の話を聞いていた。
『だけど、それよりも、お姉ちゃんが、仕方なくでもいいから、何かをして貰う相手ができて良かった。安心した。
私や藍蓮様じゃ無理だったから…。』
『最近のお姉ちゃん、誰とも繋がらず、まるで、1人きりで生きて行こうとしてるみたいだったから。ずっと不安で心配だったから…。良かったなって…。
それだけ、、』
そう言ってから美月はずっと窓の外を眺めて話すことはなかったけど、
その時言った美月の言葉はなぜか心に沁みるようだった。
♢♢♢♢♢
美月と一緒に、家に帰った時には、お母さんも美咲も、もう家にいて、花姫会からも連絡が来た後だった。
本当に連絡が入ったのかと正直、驚いた。
私と美月が帰って来るなり、お母さんが、私たちをリビングに呼んで、
『花姫会から、
『美咲に、千虎家から緊急な話があるって連絡が入ったのよ。
両親と美咲が揃っている時に伺いたい。
と言われたから、お父さんにも連絡して、
花姫会の方が、7時に来ることになったから。
花姫会が来る前に夕飯を済ませて置きたいから、忍葉は、早く夕飯の支度をして頂戴。
わかったわね。』
と言った。
私は、夕飯作りにすぐ取り掛かった。
お母さんは、残った美月に、
『美月は昨日、藍蓮様のお母様の家に泊まったのよね、何か粗相をしてないわよね。姉妹が2人とも花王子家から何か言われたりしたら、困るわ。大丈夫よね?』
と言っていた。
美月は、無表情のまま、
『何にも無いから大丈夫だよ。』
と言うとサッサと自室に行ってしまった。
『本当、あの子は益々、反抗期ね。困ったわ。』
と言うと、不安そうに居間に座っていた美咲の方に行って、
『美咲、きっと大丈夫よ。貴方は、花姫なんだから。』
と声を掛けていた。
そんなお母さんの言葉を聞きながら、お母さんは、自分本位で相手にとって中身がない会話をしているんだなと気づいた。
どうなるんだろうと気掛かりだった美咲は、不安で儚げな様子で、いつものような棘のある言葉を言うことも、近づいて来ることもなく、普段の美咲からは、想像出来ない姿にこんな風になるのかと驚いた。
その後少しして、お父さんが慌てた様子で帰って来てからは、
不安そうな美咲を放置して、
お母さんとお父さんは、
『晶子、今日、千虎家の方と、藍蓮様と内覧に行っただろう。
その時、何か失礼なことでも言ったんじゃないのか?』
『失礼ね。私がそんなことをするわけないじゃないですか。
千虎家のご夫妻は、とても素敵な方たちで、用があるとかで、お昼は、ご一緒できなかったけど、内覧中は、楽しくお話しして、とっても気が合いましたよ。』
こんな会話をずっとしてた。
食事の片付けをしていると、インターホンが鳴った。
お母さんが出迎えて、客間にお通しした。
千景さんと龍咲さんそして、どうしてか道忠さんも一緒に来ていた。
紫紺様の秘書の道忠さんが一緒に来ていることに私は、胸騒ぎを覚えた。
客間に案内したお母さんが戻ってきて、お父さんと美咲を連れて行った。
私は、いつものようにお茶を淹れてお出しした。
気になったけど、自分の部屋にいることにした。美月の部屋の前を、通ったら、美月の話す声が聞こえた。
美月は、藍蓮様と電話しているようだった。
きっと今の状況を報告しているんだろうなと思った。
お母さんたちが話しているうちに、美月と話したかったけど、諦めて部屋へ行った。
1時間半近く経って、お父さんが、美月と私を呼びに来た。
リビングに行くと居間のソファに、道忠さんと龍咲さんが座っていた。
美咲とお母さん、千景さんは、まだ、客間にいるようだった。
美月、私、お父さんが座ると、
龍咲さんが、
『忍葉様と美月様にもお話ししておいた方が宜しいかと思いますので、本日、伺ったご用件を簡単にお話しさせて頂きます。』
そう言うと、龍咲さんは、話し始めた。
『実は本日、千虎家から、中央区管内に美咲様とご家族が一緒に住む話を取り止めたいと申し出がございました。
千虎家の奥様が本日、
藍蓮様が、美咲様に、
柘榴様から忍葉様へ贈った服を、どうして美咲様が着ているのか?
と聞いてるやり取りを耳にしたそうで、
神獣人一族の社会は、立場の理解や分別を理解できないと通用しない縦社会ですので、
鳳凰一族の当主で、
藍蓮様のお母さんでもある柘榴様が、贈った物を安易に借りるような感覚では、神獣人一族との社交に、不安を感じると仰られまして…。
ましてや忍葉様も花姫ですから、
花姫は大切な存在だから、
例え、花姫であっても、
花姫に害を成すことは許されませんし、
もし、花姫を、傷つけるようなことがあれば、花姫としての立場はなくなりますし、
花王子家も処分を受けることになります。
だから、花紋が出ていなくて花王子が誰かわからなくても、姉妹であっても、
花姫である以上、
その花姫に鳳凰一族の当主が贈ったものを、借りるような安易なことをするようでは、
花姫として迎え入れても、
神獣人の社交の場に、不安で花姫として参加させられない。
美咲様には、そういう神獣人一族の中に、嫁ぐかどうか一度、しっかり考えた上で、
それでも花姫になる気があるなら、
千虎家に入り花姫としての教育を受けて貰いたい。
そうでなければ、美咲様を花姫として千虎家には、迎え入れることはできない。
と仰られましてそれを伝えに伺いました。』
と話した。
話の内容は、理解はしていたけど、本当にそんなことがおきるか?半信半疑だったので、お昼に、藍蓮様が話していた通りの内容を龍咲さんから聞いて、正直、驚いた。
車に乗ると美月は、
『お姉ちゃん、道忠さんに、ピシッと色々、言われてたね。』
と言った。
『……うん。道忠さんの言うことは、的を得てて何も言い返せなかった…。』
『ふふふっ。お姉ちゃんが、道忠さんに、やり込められてるのを見て、正直、ちょっと嬉しかった。』
『えっ?そうなの?』
『うん。そうだよ。だって、お姉ちゃん自分一人で何もかも背負おうとして、私や藍蓮様が、力になりたいと言っても、頑なに、受け入れなかったじゃない。
お姉ちゃんの気持ちはなんとなくわかっても、やっぱり何も出来ないのは悔しかったし、お姉ちゃんに対しても、この頭でっかち‼︎って腹が立つ気持ちがあったから…。
道忠さんのお姉ちゃんへのきっぱりした態度は、気持ち良かったよね。
言いたいことを代わりに言って貰ってスカッとしたというか…。』
そんなに不満をためさせていたのか…と凹みながら美月の話を聞いていた。
『だけど、それよりも、お姉ちゃんが、仕方なくでもいいから、何かをして貰う相手ができて良かった。安心した。
私や藍蓮様じゃ無理だったから…。』
『最近のお姉ちゃん、誰とも繋がらず、まるで、1人きりで生きて行こうとしてるみたいだったから。ずっと不安で心配だったから…。良かったなって…。
それだけ、、』
そう言ってから美月はずっと窓の外を眺めて話すことはなかったけど、
その時言った美月の言葉はなぜか心に沁みるようだった。
♢♢♢♢♢
美月と一緒に、家に帰った時には、お母さんも美咲も、もう家にいて、花姫会からも連絡が来た後だった。
本当に連絡が入ったのかと正直、驚いた。
私と美月が帰って来るなり、お母さんが、私たちをリビングに呼んで、
『花姫会から、
『美咲に、千虎家から緊急な話があるって連絡が入ったのよ。
両親と美咲が揃っている時に伺いたい。
と言われたから、お父さんにも連絡して、
花姫会の方が、7時に来ることになったから。
花姫会が来る前に夕飯を済ませて置きたいから、忍葉は、早く夕飯の支度をして頂戴。
わかったわね。』
と言った。
私は、夕飯作りにすぐ取り掛かった。
お母さんは、残った美月に、
『美月は昨日、藍蓮様のお母様の家に泊まったのよね、何か粗相をしてないわよね。姉妹が2人とも花王子家から何か言われたりしたら、困るわ。大丈夫よね?』
と言っていた。
美月は、無表情のまま、
『何にも無いから大丈夫だよ。』
と言うとサッサと自室に行ってしまった。
『本当、あの子は益々、反抗期ね。困ったわ。』
と言うと、不安そうに居間に座っていた美咲の方に行って、
『美咲、きっと大丈夫よ。貴方は、花姫なんだから。』
と声を掛けていた。
そんなお母さんの言葉を聞きながら、お母さんは、自分本位で相手にとって中身がない会話をしているんだなと気づいた。
どうなるんだろうと気掛かりだった美咲は、不安で儚げな様子で、いつものような棘のある言葉を言うことも、近づいて来ることもなく、普段の美咲からは、想像出来ない姿にこんな風になるのかと驚いた。
その後少しして、お父さんが慌てた様子で帰って来てからは、
不安そうな美咲を放置して、
お母さんとお父さんは、
『晶子、今日、千虎家の方と、藍蓮様と内覧に行っただろう。
その時、何か失礼なことでも言ったんじゃないのか?』
『失礼ね。私がそんなことをするわけないじゃないですか。
千虎家のご夫妻は、とても素敵な方たちで、用があるとかで、お昼は、ご一緒できなかったけど、内覧中は、楽しくお話しして、とっても気が合いましたよ。』
こんな会話をずっとしてた。
食事の片付けをしていると、インターホンが鳴った。
お母さんが出迎えて、客間にお通しした。
千景さんと龍咲さんそして、どうしてか道忠さんも一緒に来ていた。
紫紺様の秘書の道忠さんが一緒に来ていることに私は、胸騒ぎを覚えた。
客間に案内したお母さんが戻ってきて、お父さんと美咲を連れて行った。
私は、いつものようにお茶を淹れてお出しした。
気になったけど、自分の部屋にいることにした。美月の部屋の前を、通ったら、美月の話す声が聞こえた。
美月は、藍蓮様と電話しているようだった。
きっと今の状況を報告しているんだろうなと思った。
お母さんたちが話しているうちに、美月と話したかったけど、諦めて部屋へ行った。
1時間半近く経って、お父さんが、美月と私を呼びに来た。
リビングに行くと居間のソファに、道忠さんと龍咲さんが座っていた。
美咲とお母さん、千景さんは、まだ、客間にいるようだった。
美月、私、お父さんが座ると、
龍咲さんが、
『忍葉様と美月様にもお話ししておいた方が宜しいかと思いますので、本日、伺ったご用件を簡単にお話しさせて頂きます。』
そう言うと、龍咲さんは、話し始めた。
『実は本日、千虎家から、中央区管内に美咲様とご家族が一緒に住む話を取り止めたいと申し出がございました。
千虎家の奥様が本日、
藍蓮様が、美咲様に、
柘榴様から忍葉様へ贈った服を、どうして美咲様が着ているのか?
と聞いてるやり取りを耳にしたそうで、
神獣人一族の社会は、立場の理解や分別を理解できないと通用しない縦社会ですので、
鳳凰一族の当主で、
藍蓮様のお母さんでもある柘榴様が、贈った物を安易に借りるような感覚では、神獣人一族との社交に、不安を感じると仰られまして…。
ましてや忍葉様も花姫ですから、
花姫は大切な存在だから、
例え、花姫であっても、
花姫に害を成すことは許されませんし、
もし、花姫を、傷つけるようなことがあれば、花姫としての立場はなくなりますし、
花王子家も処分を受けることになります。
だから、花紋が出ていなくて花王子が誰かわからなくても、姉妹であっても、
花姫である以上、
その花姫に鳳凰一族の当主が贈ったものを、借りるような安易なことをするようでは、
花姫として迎え入れても、
神獣人の社交の場に、不安で花姫として参加させられない。
美咲様には、そういう神獣人一族の中に、嫁ぐかどうか一度、しっかり考えた上で、
それでも花姫になる気があるなら、
千虎家に入り花姫としての教育を受けて貰いたい。
そうでなければ、美咲様を花姫として千虎家には、迎え入れることはできない。
と仰られましてそれを伝えに伺いました。』
と話した。
話の内容は、理解はしていたけど、本当にそんなことがおきるか?半信半疑だったので、お昼に、藍蓮様が話していた通りの内容を龍咲さんから聞いて、正直、驚いた。