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『そろそろお支度を。』
と言われて、着替えを済ませたら、龍咲さんが、

『美月様がきっと喜ぶからと藍蓮様に頼まれましたのでと言って、お化粧と髪のセットもします。』
と言った。

家に帰れば、お洒落をすることが気に入らないお母さんや美咲がいる。

もう、少ししたら離れて暮らすから、わざわざ、揉めごとを起こしたくなくて、やんわり断ったけど、龍咲さんは頼まれましたのでと譲らなかった。

諦めて、帰る前に化粧を落として、髪を元に戻すことにして、龍咲さんにお任せした。

龍咲さんは、なぜかやたらと張り切っていて、お化粧を済ますと、髪も編み込みにし綺麗にセットしてくれた。

準備が終わって鏡を見ると、今まで見たことのない私がいた。

今までお洒落などしたことも無かったし、許されないから、やろうとも思わなかったけど、

きっともうすることがないだろうから、こういう自分の姿を一度、見れて良かったなと思った。

何事もなく退院し、そのまま、花姫会館に向かった。

花姫会館のレストランには、私の方が先に到着して、美月たちが来るのを待った。