♢♢♢♢♢
病室がかなり明るくなった頃、私は、目覚めた。起き上がってぼんやりしていると、
私が起きたことに気づいた龍咲さんに、
『忍葉様、目を覚まされて良かったです。そろそろ朝食の用意が届くそうですよ。』
と声を掛けられた。
『龍咲さんは、ずっとここに?』
『いえ、先ほど、来ました。』
『そう良かった。ゆっくり眠れましたか?』
『ええ。お気遣いなく。忍葉様は、ゆっくり眠れましたか?』
『うん。気を失ったみたいにぐっすり眠ってたみたい。なんだか久しぶりにとっても気分が良いみたい…。』
『それなら良かったです。顔色もすっかり良くなったみたいですね。』
『そう?』
『ええ。昨日は、かなり疲れた様子でしたから。』
龍咲さんの言葉を聞いて、皆んなに随分、心配させたのだろうと思った。
ノックの音がした。
『きっと朝食ですね。忍葉様、受け取っておきますので、先に、お顔を洗いに行って来て下さい。』
ああ、そうだなと思って龍咲さんにお願いすると、病室内にあるサニタリールームに移動した。
はぁ〜と溜息が溢れた。
昨日、目が覚めてから、次々、聞かされることに驚いてよくわかっていなかったけど、この病室は、豪華過ぎる。
このサニタリールームは、呼び出しコールの無機質なボタンさえなければ、高級なホテルにしか思えない。
龍咲さんは、私のことを、必ず、様をつけて呼んで、まるでお嬢様の様に扱うし…、
正直、落ち付かなくて、居心地が悪いけど、
花姫会に、私が花姫だと断定されてしまった以上、きっと龍咲さんに何を言っても、困らせるだけなんだろうな…。
藍蓮様が、今日、家の内覧が住めば、学校の話になると言っていた。
そこで寮に入ることが決まって引っ越してしまえば、そう構われることは無くなるだろう。
花姫会が花姫だと扱ったところで、私には、花紋が現れず、花王子が誰かすらわからないんだから。
花紋が現れる抵抗か…、そう思った瞬間、あの暗闇が浮かんできて、慌てて頭を振って、考えるのを辞めた。
花姫だと考えると、足元が崩れて底のない穴に落ちていくような得体の知れない恐怖を感じる…。とてもじゃないけど、恐くて考えられない…。
このまま、花紋が現れず、皆んなが諦めてくれたら良いんだけど…。
その時、ノックの音と共に、龍咲さんの声が聞こえた。
『忍葉様、遅いようですが、どうかなさいましたか?』
しまったうっかりボンヤリ考え事に浸ってしまったと思い慌てて、
『あ、ううん。あんまりサニタリールームが豪華でビックリしていただけで。あ何も、ないです。すぐ、顔を洗って行きます。』
とドア越しに、言った。
『そうでしたか…。ごゆっくり御支度して下さい。』
『はい。』
頬をパシンと両手で軽く叩くと、私は、身支度に集中した。
朝食を済ませて、龍咲さんが淹れてくれたお茶を飲んでいると、
『内覧前に、美月様が忍葉様に会いたいと仰ったそうで、
もうすぐ、美月様と藍蓮様がこちらにお顔を見せにいらっしゃるそうです。
それから、
『内覧後、一緒に、花姫会館内のレストランで3人で食事をしよう。』
と藍蓮様が仰ってました。』
と報告された。
相変わらず、私を置いて物事が進んで行くなと思いながら、いつものことだと諦めながら聞いていた。
それに、お母さんたちと違い、美月たちなら、それほど嫌でも無いなと思った。
暫くすると、本当に、美月が藍蓮様と一緒に、病室へ来てくれた。
『お姉ちゃん、昨日、病院に戻ったら、ぐっすり寝てるんだもん。また、気を失ったのかと焦ったんだからね。』
と美月は私の顔を見るなり怒って言った。
怒ったらスッキリしたのか?
たわいのない話しを少しすると、
『じゃあ、花姫会館でね。』
と言って藍蓮様と出掛けて行った。
昨日より、スッキリした顔をして、元気そうで安心した。
午前中は、龍咲さんと病院の中庭を散歩したりしてゆっくり過ごした。
そのせいか張り詰めていた気持ちが緩んで、
入院して良かったかも知れないと思った。
病室がかなり明るくなった頃、私は、目覚めた。起き上がってぼんやりしていると、
私が起きたことに気づいた龍咲さんに、
『忍葉様、目を覚まされて良かったです。そろそろ朝食の用意が届くそうですよ。』
と声を掛けられた。
『龍咲さんは、ずっとここに?』
『いえ、先ほど、来ました。』
『そう良かった。ゆっくり眠れましたか?』
『ええ。お気遣いなく。忍葉様は、ゆっくり眠れましたか?』
『うん。気を失ったみたいにぐっすり眠ってたみたい。なんだか久しぶりにとっても気分が良いみたい…。』
『それなら良かったです。顔色もすっかり良くなったみたいですね。』
『そう?』
『ええ。昨日は、かなり疲れた様子でしたから。』
龍咲さんの言葉を聞いて、皆んなに随分、心配させたのだろうと思った。
ノックの音がした。
『きっと朝食ですね。忍葉様、受け取っておきますので、先に、お顔を洗いに行って来て下さい。』
ああ、そうだなと思って龍咲さんにお願いすると、病室内にあるサニタリールームに移動した。
はぁ〜と溜息が溢れた。
昨日、目が覚めてから、次々、聞かされることに驚いてよくわかっていなかったけど、この病室は、豪華過ぎる。
このサニタリールームは、呼び出しコールの無機質なボタンさえなければ、高級なホテルにしか思えない。
龍咲さんは、私のことを、必ず、様をつけて呼んで、まるでお嬢様の様に扱うし…、
正直、落ち付かなくて、居心地が悪いけど、
花姫会に、私が花姫だと断定されてしまった以上、きっと龍咲さんに何を言っても、困らせるだけなんだろうな…。
藍蓮様が、今日、家の内覧が住めば、学校の話になると言っていた。
そこで寮に入ることが決まって引っ越してしまえば、そう構われることは無くなるだろう。
花姫会が花姫だと扱ったところで、私には、花紋が現れず、花王子が誰かすらわからないんだから。
花紋が現れる抵抗か…、そう思った瞬間、あの暗闇が浮かんできて、慌てて頭を振って、考えるのを辞めた。
花姫だと考えると、足元が崩れて底のない穴に落ちていくような得体の知れない恐怖を感じる…。とてもじゃないけど、恐くて考えられない…。
このまま、花紋が現れず、皆んなが諦めてくれたら良いんだけど…。
その時、ノックの音と共に、龍咲さんの声が聞こえた。
『忍葉様、遅いようですが、どうかなさいましたか?』
しまったうっかりボンヤリ考え事に浸ってしまったと思い慌てて、
『あ、ううん。あんまりサニタリールームが豪華でビックリしていただけで。あ何も、ないです。すぐ、顔を洗って行きます。』
とドア越しに、言った。
『そうでしたか…。ごゆっくり御支度して下さい。』
『はい。』
頬をパシンと両手で軽く叩くと、私は、身支度に集中した。
朝食を済ませて、龍咲さんが淹れてくれたお茶を飲んでいると、
『内覧前に、美月様が忍葉様に会いたいと仰ったそうで、
もうすぐ、美月様と藍蓮様がこちらにお顔を見せにいらっしゃるそうです。
それから、
『内覧後、一緒に、花姫会館内のレストランで3人で食事をしよう。』
と藍蓮様が仰ってました。』
と報告された。
相変わらず、私を置いて物事が進んで行くなと思いながら、いつものことだと諦めながら聞いていた。
それに、お母さんたちと違い、美月たちなら、それほど嫌でも無いなと思った。
暫くすると、本当に、美月が藍蓮様と一緒に、病室へ来てくれた。
『お姉ちゃん、昨日、病院に戻ったら、ぐっすり寝てるんだもん。また、気を失ったのかと焦ったんだからね。』
と美月は私の顔を見るなり怒って言った。
怒ったらスッキリしたのか?
たわいのない話しを少しすると、
『じゃあ、花姫会館でね。』
と言って藍蓮様と出掛けて行った。
昨日より、スッキリした顔をして、元気そうで安心した。
午前中は、龍咲さんと病院の中庭を散歩したりしてゆっくり過ごした。
そのせいか張り詰めていた気持ちが緩んで、
入院して良かったかも知れないと思った。