♢♢♢♢♢
美月の世話を任せた使用人から、眠りについたようだと報告を受けた藍蓮は、美月の部屋にそっと入ると、ぐっすり眠る美月の頬を愛おしげに撫でた。
やっと花姫に会えたのに、今日一日、悲しんで泣いたり、家族に怒ったり、不安や戸惑う顔ばかり見た。
このまま、僕の花姫や忍葉ちゃんを、家族の元には居させられない。一刻も早く手を打たないと…。
『間違いは無さそうだけど、一応、確認しないとね。』
そう呟くと、名残り惜しそうに、もう一度、ぐっすり眠る美月を見つめてから、美月の部屋を後にし、徐に電話を掛けた。
『もしもし、母さん。美月ちゃんを泊めてくれてありがとね。』
『そんなことは構わぬ。わざわざ電話して来て、どうしたえ。』
『ふっ。母さんのことだから、そろそろかけてくる頃だと思ってたんじゃないの?』
『どうじゃろうな。』
『忍葉ちゃんの花王子は、紫紺君かな?』
『わかったかえ。早かったの。』
『そりゃぁ。神蛇先生が、僕より上位って言ったんだよ。花王子でそんなの紫紺君、一人しか居ないじゃないか。 』
『そうじゃの。クククッ』
『母さん、忍葉ちゃんに、桜色のブラウスと桜のスカートを贈ったんだってね。』
『ああ、そうじゃ。』
『枝垂れ桜の花姫だもんね。忍葉ちゃんに、きっと似合うよ。』
『母さんのことだから、浅井家のこと、もう調べ終わってる頃だよね。』
『あー、今日、丁度、しっかり調べた報告書が届いたえ。』
『今日か、明日の早朝にも、紫紺君を連れて見に行くよ。』
『……そうかえ。千景に言うておく。』
『其方の花姫はどうじゃった?』
『そんなの可愛いかったに決まってるよ。』
『そうかえ。まあ、そうじゃなきゃ、抱きついたりしないじゃろうな。クククククッ』
『母さん…… 。 あっ、神蛇先生かっ‼︎』
『まあ、やっと会えたんじゃ。良かったな。今、花姫は、妾の家にいるんじゃろ?落ち着いておるか?』
『うん。今、眠ったところだよ。』
『そうかえ。朝には会えるの。紹介してくれるじゃろ?』
『ああ、そのつもりだよ。もう帰って来るだろう母さん。』
『もうすぐ家に着くえ。』
『僕ちょっと出掛けてくるから。花姫のこと頼んだよ。』
『わかった。ほな、切るえ。』
♢♢♢
電話を終えると藍蓮は、深く溜息を吐いた。
厄介だな。大変そうな家だ。
ここ数年、花紋を通して、花姫の苦しみを時々、感じてきた。
美月ちゃんの話しを聞いて、
あの家族と忍葉ちゃんに挟まれて葛藤してきたんだろう…とわかって納得はいった。
だけど、美月ちゃんは、これまで随分、傷ついてきたみたいだ。
それに姉の忍葉ちゃんは、痛々しかった。
美月ちゃんも忍葉ちゃんも何も悪くないのに…、2人とも心配だ。
忍葉ちゃんのことは、まぁ、紫紺君がなんとかするだろう。
あんなに花姫であることを、否定している忍葉ちゃんに、今、紫紺君を会わせることは、逆効果な気もするけど、だからって黙って置くわけにも、いかない。
花王子と花姫の絆は深い。
御霊還りなんだから、尚更だ。
そこに期待するしかない。
きっと大丈夫なはずだ。
とにかく僕は、今、僕のできることをしなくちゃ…ね。
そう決意を新たにすると、藍蓮はまた、病院へと戻って行った。
美月の世話を任せた使用人から、眠りについたようだと報告を受けた藍蓮は、美月の部屋にそっと入ると、ぐっすり眠る美月の頬を愛おしげに撫でた。
やっと花姫に会えたのに、今日一日、悲しんで泣いたり、家族に怒ったり、不安や戸惑う顔ばかり見た。
このまま、僕の花姫や忍葉ちゃんを、家族の元には居させられない。一刻も早く手を打たないと…。
『間違いは無さそうだけど、一応、確認しないとね。』
そう呟くと、名残り惜しそうに、もう一度、ぐっすり眠る美月を見つめてから、美月の部屋を後にし、徐に電話を掛けた。
『もしもし、母さん。美月ちゃんを泊めてくれてありがとね。』
『そんなことは構わぬ。わざわざ電話して来て、どうしたえ。』
『ふっ。母さんのことだから、そろそろかけてくる頃だと思ってたんじゃないの?』
『どうじゃろうな。』
『忍葉ちゃんの花王子は、紫紺君かな?』
『わかったかえ。早かったの。』
『そりゃぁ。神蛇先生が、僕より上位って言ったんだよ。花王子でそんなの紫紺君、一人しか居ないじゃないか。 』
『そうじゃの。クククッ』
『母さん、忍葉ちゃんに、桜色のブラウスと桜のスカートを贈ったんだってね。』
『ああ、そうじゃ。』
『枝垂れ桜の花姫だもんね。忍葉ちゃんに、きっと似合うよ。』
『母さんのことだから、浅井家のこと、もう調べ終わってる頃だよね。』
『あー、今日、丁度、しっかり調べた報告書が届いたえ。』
『今日か、明日の早朝にも、紫紺君を連れて見に行くよ。』
『……そうかえ。千景に言うておく。』
『其方の花姫はどうじゃった?』
『そんなの可愛いかったに決まってるよ。』
『そうかえ。まあ、そうじゃなきゃ、抱きついたりしないじゃろうな。クククククッ』
『母さん…… 。 あっ、神蛇先生かっ‼︎』
『まあ、やっと会えたんじゃ。良かったな。今、花姫は、妾の家にいるんじゃろ?落ち着いておるか?』
『うん。今、眠ったところだよ。』
『そうかえ。朝には会えるの。紹介してくれるじゃろ?』
『ああ、そのつもりだよ。もう帰って来るだろう母さん。』
『もうすぐ家に着くえ。』
『僕ちょっと出掛けてくるから。花姫のこと頼んだよ。』
『わかった。ほな、切るえ。』
♢♢♢
電話を終えると藍蓮は、深く溜息を吐いた。
厄介だな。大変そうな家だ。
ここ数年、花紋を通して、花姫の苦しみを時々、感じてきた。
美月ちゃんの話しを聞いて、
あの家族と忍葉ちゃんに挟まれて葛藤してきたんだろう…とわかって納得はいった。
だけど、美月ちゃんは、これまで随分、傷ついてきたみたいだ。
それに姉の忍葉ちゃんは、痛々しかった。
美月ちゃんも忍葉ちゃんも何も悪くないのに…、2人とも心配だ。
忍葉ちゃんのことは、まぁ、紫紺君がなんとかするだろう。
あんなに花姫であることを、否定している忍葉ちゃんに、今、紫紺君を会わせることは、逆効果な気もするけど、だからって黙って置くわけにも、いかない。
花王子と花姫の絆は深い。
御霊還りなんだから、尚更だ。
そこに期待するしかない。
きっと大丈夫なはずだ。
とにかく僕は、今、僕のできることをしなくちゃ…ね。
そう決意を新たにすると、藍蓮はまた、病院へと戻って行った。