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忍葉が、疲れて一人、病室のベッドで眠りについてから、数時間後、忍葉の家族たちも、
それぞれの場所で眠りにつこうとしていた。

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藍蓮様と一緒に、お母様の家に着いた美月は、すぐに、
『美月ちゃん。今日は、もう疲れただろうから、眠った方がいいよ。』
と、使用人に、寝室に案内された。

用意された寝室のベッドに横になった美月は、今日の一連の出来事を考えていた。

お姉ちゃん、藍蓮様と食事を済ませて戻ったら、ぐっすり眠っていた。

よっぽど、疲れたんだろうな…、それなのに、お母さんたち…酷すぎる。あんな、ピクリとも動かなくなったお姉ちゃんを見たのに、お母さんも美咲も、お姉ちゃんのこと全く心配してなかった。

お母さんは、どうせいつもの体調不良だって決めつけた。いつもの訳ないのに…、

美咲は、また、お姉ちゃんのせいで予定通りいかないって怒っているし…、何を考えているのよ‼︎お母さんも美咲も‼︎

はあ〜。家に帰りたくなくて、藍蓮様に言われるまま、柘榴様の家に行くって言って着いて来ちゃったけど、凄い豪邸だった。

今更だけど、怖気付いてきちゃった。
こんな家の花姫なんて私にできるのかな…

お姉ちゃんのことも心配だけど、今日、花姫だとわかって、私もどうしていいかわからないよ…。

でも、花姫になったことは良かった。

藍蓮様に会ったら、素直にそう思えた。

花紋が、出る前はこんな風に思うなんて想像できなかったけど…。

お姉ちゃんもそうなんだろうな、

寮に住むことしか考えてないみたいだったし…
お姉ちゃん、せっかく、花姫だったのに、
全くなる気がない…全くそうだと思ってすらいなかった。

私もそうだったけど…、

それでも、お姉ちゃんほどじやなかった…。なんであんなに、完全に、遮断するみたいに否定するんだろう…

お姉ちゃんにも、幸せになって欲しいのに…。

私も、これから先何処に住めばいいか、決められなくて何も言えなかった。

けど…

今は、藍蓮様が居る。
話しを聞いてくれる、受け入れてくれる。

お姉ちゃんの花紋、早く現れたらいいのに、そうすれば、私のようにきっと嘘みたいに気持ちが変わると思うんだけどな…、

花紋が現れる抵抗って、一体何だろう…。


明日の内覧、少し心配だな…。藍蓮様、何を考えているんだろう?本当に、お姉ちゃんを早く寮に入れるためだけなのかな…。

お姉ちゃんの気持ちが頑ななのはよくわかったし、
あの家族とお姉ちゃんをあんまり近づけたくないから、藍蓮様の言う通りにすることにはしたけど、お姉ちゃんが寮に住むのも私は、本当は、反対なんだけどな…。

お姉ちゃん、これから、家族と離れて一人きりで生きて行く気みたいだった。あのまま、
お姉ちゃんを寮に行かせたら、良くない気がする…。

だけど、親たちと住む気にはなれないけど、藍蓮様と住むのも考えられない今の私には、何も言えない。

やっぱりこれからどうするか私が決めないことには、何を考えてもここで、迷ってグルグル回るだけ…、

藍蓮様が、言ったように、候補を実際に見て考えた方がやっぱりいいんだろうな…

そこに考えが思い至ったら、急に、凄い睡魔を覚えた美月は、大きな欠伸をすると、そのまま眠りに着いた。

♢♢♢♢♢

もう何なの‼︎花姫会も、藍蓮様も、美月も、
あの病院の医者も‼︎忍葉、忍葉、って。

花紋も出てないのに花姫って、
上位の花王子の花姫である可能性もあるって、あるわけないでしょ‼︎
バカじゃないの‼︎

心理的抵抗があって花紋が出ないなんて、
見た目だけじゃない。心も欠陥品ってことじゃない。

あんなただの欠陥品を皆んなで大事にして、本当、ムカツク。


お母さんが忍葉が花姫じゃない。
ってハッキリ言ってた。

なんでだろう…?

まあ、いいや、お姉ちゃんが花姫なんてある訳ないんだから。

それより早く明日にならないかな…

内覧楽しみだなぁ。

早く引っ越したいな…ここからだと翔の家まで、遠いもの。

美咲は、そんなことを思いながら眠りについた。

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あー、しまったわ。

花紋が現れることに心理的な抵抗があると、花紋を強制的に出す祈祷中に、忍葉みたいに倒れることがあるなんて…

誤解されてしまったわ。

忍葉が、花姫なわけ無いのに。

いつもの具合いが悪いこととは、違うって、
あの医者、譲らなかったわ。

違うわけないわよ。

ちゃんと忍葉は、お茶を飲んでいたし、意識を取り戻した時、吐いてたんだから。

花紋なんか出るわけないから、心配はないけど、色々、厄介なことになったわ…

でも、美月が花姫に、ちゃんとなれて良かったわ。

花姫なのは、わかっていたんだから。
私の子だもの。

それも花木姫だったなんて、想像以上だったわ。

双子の花姫の母親。
やっぱりそれが本来の私のあるべき姿なのよ。

あんなのが生まれたせいで、苦しめられたわ。それも、もうすぐ終わりね。ふふっ。

明日は、中央区管内の家の内覧。

この調子で行けは、お盆前には、引っ越しは、終わって、2人の新しい学校も決まっているわね。

忍葉には、中央区の学校は勿体ないわ。
それに今日のワンピース‼︎

花姫なんて言われて、あんなものを着せていたら調子に乗るわ。気に入らない。

今日は、藍蓮様の手前、仕方なく置いてきたけど…、
退院して、今に戻ったら、忍葉が美咲たちの花王子家族に会う機会なんて絶対、作らないようにしないと…。

本当は、神獣人や花姫会に一度も、忍葉を会わせないまま、事を進めていきたかったんだけど、花姫会は、一々、厄介ね。

でも、いつまで経っても、花紋は出ないってなれば忍葉なんかすぐ、花姫会にも、美咲たちの花王子たちや、その家族にも、相手にされなくなるわ。気に入らないけど、それまでの我慢ね。

さあ、明日は朝、早いわ。美咲と美月の花王子のご家族と会うんだもの。しっかり寝ておかないと。

そう思って、晶子は、目を閉じた。

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美月も、花姫だった。それも、上位の。
忍葉も、花紋が出てなくても花姫だっていうし…。

せっかく、娘が3人も居るから1人位は、花姫だったらと思ってきたけど、
3人共とは…。

欲に歪んだニヤっとしたわらいを浮かべる。

あの時、決まりかけた見合いを蹴って、たまたま、そのタイミングで、できたからだけど、晶子と結婚して良かった。その時の子から、全員、花姫なんだもんな。

だけど、晶子の思い込みは、酷いな。

美月の時は、花紋を確認すると決まった途端、明日には、花姫になる。って言い切ってたし…、まあ、その通りになったけど…。

今度は、忍葉は、花姫だって言われたのに、
花姫じゃないから、花紋が出るわけないって、言い切るし…。

こっちは、違ってて欲しいよな〜。

今まで、口を出すと面倒になるから黙ってたけど、あれだけ花姫を大切にする花王子と花姫会が相手だ。

それぞれの花王子の美月と美咲を見る目や、態度を思い出し、

晶子の忍葉への態度は、花王子がわかる前に、どうにかしないと困るな…そう呟いた。

あの時みたいに船の乗り換え時かもな。

寝ている妻、晶子の隣で、夫、清孝はそんなことを思った。

明日の内覧は、仕事でいけないからな。忍葉が病院にいるから心配ないだろうけど、晶子が、花王子家族に変なことを言わなきゃいいけどな…。

そんなことを考えながら、清孝は、眠りについた。