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『話は変わるけど、忍葉君、今日は、念の為に入院して貰うよ。』

『ホラ。』
と美月の声が聞こえた。

ブンブン首を振って、
『入院は、大袈裟だから。いい。いい。
ここ、高いでしょ。』

『ん?あー。特別室だからね。』

そういうと神蛇(かんじゃ)先生は、可笑しそうに笑い出した。

先生の反応に、キョトンとしていると、

『いやね。忍葉君が、搬送されて来た時に、妹の美月君も一緒に来たからね。

藍蓮君は、この病院の研修医だから。

処置室の前で、美月君が待っている時に、
藍蓮君は美月君を見つけたらしくて、

「会いたかった。僕の花姫。」
って言って、いきなり抱きついたらしいよ。』
と言ってまた、笑い出した。

龍咲さんまで、こっそり笑ってる。

『ちょっと、神蛇先生、抱きついたって…、抱きしめたんですよ。』

『君はそうかもしれないが、美月君はどう思っただろうね。』

この言葉に、藍蓮様の顔が引き攣った。

神蛇先生の目が揶揄うように笑ってる。

『驚いたし、それどころじゃなかったけど、嫌な感じはしなかったから。』

美月の言葉にホッとした顔をした藍蓮様は、

『ごめんね。感極まっちゃって。』

と美月の顔を覗き込むようにして言っている。もう2人の世界だ。

『それでね。美月ちゃんの、お姉ちゃんを一般病棟に入れられない‼︎』

って、処置が終わったら、ここに連れて来ちゃったの。

『そうなんですね。ごめんなさい。』

『謝ることなんて何にも無いさ。
部屋代はきっと藍蓮君が、喜んで払うさ。』

『花姫に会ったばかりの花王子はね、
みんな頭のネジがどうかするから…ね。』

と言って、藍蓮様の方を、チラッと見ると、

『だから、迷惑料だと思ってたらいいよ。アレをずっと見せられるんだから。
それに君は、まだ子どもだ。入院代を気にすることはないさ。』

そう言うと、真面目な顔に戻って、

『ということで入院は決定だから。』

また、親や周りの人に迷惑をかけてしまうと落ち込みながら、
『はい。わかりました。』
と小さく答えた。

『それじゃ。ご家族には、
祈祷中、倒れたことと、時々、調子が悪くなることは、全く違う問題で、

祈祷中倒れたのは、花紋が出ることに、心理的な抵抗を起こしたため。

だから、花姫であることは、間違いない。

『上位の』花木姫であるだろうことは、忍葉君の気持ちの整理ができるまで少しだけ待つよ。
ただし、状況が変わって言うべき事態だと判断したら即、言うよ。

花紋が出ていないから、
誰の花姫かは確認できないので、
上位の花姫でないと否定できない。
と可能性は明言する。
君にこれ以上の危害を加えられては、困るからね。

それから、僕の仕事の範疇じゃないけど…
寮に住めるよう頑張ってね。

『花姫会はこれでいいかな?』

『私だけではなんとも言えませんので、確認して来ますね。』

『そうかい。じゃ、僕は一度戻るから花姫会の方針が決まったら声掛けてくれる?』

『かしこまりました。』

慌しく2人が病室を出て行った。