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『忍葉君は、忍葉君を妊娠していた頃のお母さんの心理状態がわかるような話を聞いたことがあるかい?』

『無い。家は、秘密が一杯だし…。何がホントで、何がそうじゃないかわからない家だし…。』

『それは、僕も同意見だな。
君のお母さんにそれとなく聞いてみたけど、全然違う話を始めたよ。
それに、お母さんの言葉には、矛盾が多くてどこまで信じていいか、計りかねたよ。』

『忍葉君を妊娠していた頃のお母さんやお父さんの事情を知ってそうで、信頼できる人がいるといいんだけどね。
こういうのは、花姫会の出番かな?
龍咲君。』

『そうですね。忍葉様のお父様のご両親なら
信頼できると思いますよ。ご存知かは、わかりませんが…。
忍葉さんが、望まれるなら、お話する機会を作ることはできると思います。』

『そうかい。祖父母の方が何か知っててくれるといいね。
知らない可能性もあるけど、
一つ、目処がついたね。』


『それでね。忍葉君。忍葉君の家、特に、忍葉君とお母さんの関係は、複雑そうだ。

さっき、
人間の子どもは、
お腹の中に宿った時から、3歳くらいまで、
母親の影響を受けやすいって言ったでしょ。

記憶にはない頃だけどね。

小さい頃、育つ環境に一番影響を与えるのは、親だろう?

親が家の中を切り盛りしているんだから、
育つ環境を生み出しているといえる。

愛情ある親ならいい。

親が子を見てるから、子は、その時、見たいものを見て育つからね。

でも、忍葉君の親は、
親が子を見てないからね。

子どもが必死に親だけを見て育つ。

そうしないと見捨てられてしまうからね。

そうやって親に縛られて育つしかなかったら、人生の何処かで、

さっき言ってた忍葉君を妊娠していた頃の母親の心理を知ることも一つだし、
自分が育ってきた環境を客観的に見直して、捉え直すことも、
花紋が現れることに繋がるはずたよ。

それにね、
これから先の人生を、心理的に親と離れて生きていくためにも必要になることだと僕は思うよ。

君はどうしていきたい?

それと、忍葉君と話さないことには、なんとも言えないから、まだ、親御さんには、何も、話していない。

これから伝えるんだけど、
何か言われたら困る事とかある?
君のお母さんは癖が強そうだからね。
期待に添えるとは限らないけど、聞いておくよ。』